市川市で暮らす、パパ(父)と、おっか(母)と、ごはちゃん(猫)と、私(武井怜)の日常の、漫画と文章です。
ちょっと気になる「ご近所さんの生活」を、我が家のでよかったら、見てもらえたら嬉しいなと思います。
【第29話】
『トイレに行くたびに、時計が変身している話』
我が家には、トイレのなかに、猫の時計がありました。我が家の猫、ごはちゃんの時計、という意味ではなくて、人間が、時間を知るための時計です。写真みたいな、イラストみたいな、とら猫の顔の下に、小さな時計がついている、ぶら下げるかたちのものでした。だから、その猫の時計を、フックに引っかけて使っていました。猫の時計は、便座に座ったときの位置から、ちょうど見やすい位置に、かけられていました。
私は、真夜中に目が覚めて、トイレに行きました。だけど、猫の時計を見ると、6時を過ぎている時間になっていました。だから、私は、もう朝の6時を過ぎているの!?と、とってもびっくりしました。だけど、パパが、おっかに、トイレの時計がこわれた、という話をしていたなあ、と思い出しました。だから、そのときは、朝の6時ではなく、猫の時計が、とまっていたのでした。
おっかが、猫の時計を、時計の修理屋さんに持って行ってくれました。そうしたら、猫の時計は、もう、壊れていて、直せないことがわかったそうです。だからおっかは、新しく、トイレにかけておくための腕時計を、買ってきてくれました。その腕時計は、すぐに、トイレに掛けられました。だけど、その腕時計は、私たちが、便座に座ったときに、猫の時計のときみたいに、見やすい位置に、掛けることがむずかしかったみたいです。それで、パパなのか、おっかなのか、それとも、ふたりともなのか、とにかく、私以上に、腕時計が見づらいことを、気にしているヒトがいたらしく、私がトイレに入るたびに、腕時計の位置が、これなら、見えるようになるかな?みたいに、動かされていました。腕時計は、逆さまの向きに変わっていたり、何度目かのときは、なんだか、すごい形になっていました。私は、その形を、ひらがなの「ち」みたいになっている、と覚えておこう、と思いました。だけど、腕時計に、横の線はないはずです。だから、今思うと、きっと、ひらがなの「く」の方が、「ち」より、ずっと近いんじゃないかなと思います。
腕時計は、その、「ち」や「く」から、さらに動かされて、今は、丸まって、落ち着いています。どういうことかというと、猫の時計や、腕時計を掛けていたフックには、タオルをかけるための、ハンガーも掛けられていて、そのハンガーに、腕時計を、巻きつけてあるのです。それだと、たしか、時間が見やすかったような気がします。次に、トイレ行くときに、本当に見やすいかどうか、確認してみようと思います。
<ご近所さんの生活>エッセイ漫画
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武井 怜
1988年生まれ。現在、両親と猫と千葉県市川市在住。動物、お笑い、海外のコメディ、甘いもの、お相撲などが好き。コミックエッセイ『気にしすぎガール~この世のあらゆる物事に気を遣いすぎる女の日常~』(KADOKAWA)発売中。