公開日: 2025年1月14日

エッセイ漫画 <ご近所さんの生活 第10話 武井 怜>【毎週更新】

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第10話

これは、前の話の「2」です。前の話では、おっかが、知らない人にチョコレートを渡しました。この話では、おっかが、知らない人にチョコレートを渡しません。

この話は、次々と人が出てきて、ややこしいので、みんなの名前を、食べ方にします。おっかは「焼」さん、おっかがチョコレートを渡さなかった人は「煮」さん、おっかのお仲間は「生」さん、おっかの別のお仲間は「蒸」さんにします。だけど、やっぱり、おっかは「おっか」でいいなと思ったので、おっかのことは、「おっか」と書きます。

その日、おっかが職場の食堂に入ると、いつも一緒にお昼ご飯を食べる、生さんや蒸さんたちが、先に座っていました。だから、おっかは、その席に向かいました。おっかは、お仲間たちに、チョコレートをあげようと思っていました。だから、まず、生さんに、「ねぇ、これ食べない?」みたいなことを言いながら、チョコレートを差し出しました。だけど、おっかが、生さんだと思って話しかけた人は、おっかの知らない人、煮さんでした。煮さんは、うしろ姿が、生さんにそっくりなうえに、おっかのお仲間の範囲の席に座っていました。だから、おっかはまた、人違いをしました。おっかはまた、チョコレートを、知らない人に差し出しました。おっかは、バスで人違いをした日、チョコレートを「どうぞ…」と渡しました。だけど、その日はなぜか、チョコレートを差し出していた手を、引っ込めてしまいました。おっかは、「どうして、そうしたんだろう」と笑っています。

蒸さんたちは、おっかが人違いをした様子を見ていなかったみたいです。後になって、おっかは、生さんと煮さんを人違いした話を、蒸さんにしました。そうしたら、蒸さんも、おっかが人違いをする直前に、生さんと煮さんを人違いしていたことがわかりました。

あの日、蒸さんが食堂に入ると、どの席に座るか迷っている、生さんのうしろ姿が見えたそうです。だから、蒸さんは、「こっち」と、生さんの肩をたたいて、自分の近くの席に座らせたそうです。だけど、その人は、煮さんでした。蒸さんは、座ってから、自分が今座らせた人が、全然知らない人、煮さんだったことに気づいて、驚いたそうです。だから、煮さんが、おっかのお仲間の範囲の席に座っていたということです。

私とおっかは、「煮さんは、知らない人に席を案内された後、別の知らない人に、チョコレートを出されて、しかも、それを引っ込められて、まったくわけのわからないお昼休みだっただろうね」と、笑いました。

人違い騒ぎの日に、お休みだった生さんは、「そんなに似てるの?」と、煮さんに会いたがっているそうです。

 

エッセイ漫画 <ご近所さんの生活> ほかのお話はこちら

 

武井 怜

1988年生まれ。現在、両親と猫と千葉県市川市在住。動物、お笑い、海外のコメディ、甘いもの、お相撲などが好き。コミックエッセイ『気にしすぎガール~この世のあらゆる物事に気を遣いすぎる女の日常~』(KADOKAWA)発売中。

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