公開日: 2025年1月27日

エッセイ漫画 <ご近所さんの生活 第12話 武井 怜>【毎週更新】

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第12話

この前、私は、鳥になりたいなと思いました。

前の回でも書きましたが、この前、おっかと私で、スーパーマーケットに行ったときに、いちじくのジャムを買いました。おっかが、「これで、いちじくのジャムのパイを作ろう」と言いました。だけど、今まで、パイ生地が安く売られていたスーパーマーケットに、おっかが、パイ生地を買いに行ったら、そのスーパーマーケットの、パイ生地の販売スペースが、なくなっていたそうです。だから、パイ生地を、まだ買っていません。だから、おっかと私は、いちじくのジャムを、食パンに塗ったりして食べています。

いちじくのジャムには、つぶつぶの種が、たくさん入っています。私は、ジャムに入っている、大きないちじくの果肉も嬉しいし、ジャムの味もおいしいけれど、その、いちじくのつぶつぶの種が、特に気に入ったと思います。口に入った、いちじくの種をひと粒、犬歯の下に運んでいって、ぷちっとつぶすのが、とても気持ちいいです。いちじくのジャムを塗った食パンを食べ終えて、しばらく経ってから、歯から、いちじくの種が出てくるときがあって、私は、また、いちじくの種を犬歯でつぶせるので、嬉しくなります。私は、犬歯の前か後ろに、いちじくの種の、つぶされ待ちの行列ができればいいのになと思います。

私は、小学生の頃から、何度か家族に迎え入れた、セキセイインコたちが食べていた、あわ玉を思い出して、ぷちぷちしたものをつぶすことを、いつもやっているのは、鳥だなと思いました。私は、あわ玉を、いつもつぶしたいので、鳥になりたいなと思いました。だけど、私は、鳥には歯がないので、私が、いちじくの種で体験している感覚は、もしかしたら、鳥にはないかもしれないなと思いました。

パイ生地を買わないでいるうちに、いちじくのジャムは、どんどん減っていって、ほぼ、ひと瓶なくなってしまいました。だから、この前、おっかと私は、スーパーマーケットに行って、また、いちじくのジャムを買ってきました。パイ生地は、おっかが注文してくれていると思います。だけど、もし、明日届かなかったら、まだ注文していないと思います。

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武井 怜

1988年生まれ。現在、両親と猫と千葉県市川市在住。動物、お笑い、海外のコメディ、甘いもの、お相撲などが好き。コミックエッセイ『気にしすぎガール~この世のあらゆる物事に気を遣いすぎる女の日常~』(KADOKAWA)発売中。

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