第11話
おっかと私は、いちじくが好きです。この前、ふたりでスーパーマーケットに行ったときに、いちじくのジャムをみつけました。おっかが、「これで、パイを作ろう」と言って、いちじくのジャムを買ってくれました。パイ生地は、おっかが、別のスーパーマーケットの方が安いことを知っていたので、そっちのスーパーマーケットに行ったときに買うことにしました。だから、おっかは、いちじくのジャムのパイを作るより先に、いちじくのジャムのパウンドケーキを作ってくれました。おっかが作るお菓子は、どれもおいしいです。だから私は、おっかが、「今日は、お菓子を作ろうかな」と言った日は、楽しみがひとつ増えて、嬉しくなります。私は、おっかが作ってくれた、いちじくのジャムのパウンドケーキを、トースターで焼いてから食べました。サクサクして、とてもおいしいなと思いました。
次の日、夕飯のときに、おっかが、「いちじくのジャムのパウンドケーキ、2日目の方が、味が落ち着いていて、おいしかった」と言いました。私は、1日目のパウンドケーキも、2日目のパウンドケーキも、どっちもおいしかったです。だけど、おっかの、「味が落ち着く」という言葉を聞いて、なんとなく、わかるような気がしました。だから、そうやって、おっかに伝えようとしたら、いちじくのジャムのパウンドケーキを食べていないパパが、「いちじくっていうと、いちじく浣腸が浮かんでくる」と言いました。それから、「いちじく浣腸って、今は、ないのかな?」と言いました。それで、おっかが、「うちの子たちは、小さい頃、いちじく浣腸、やりましたよ」と言いました。私は、私は、いちじく浣腸を、したことがあるんだなと思いました。それから、いちじく浣腸の名前の話になって、おっかが、「いちじくじゃなくて、にんにく浣腸でもよくない?」と言いました。たぶんこのとき、おっかは、「にんにく浣腸」を、形だけの意味で言ったと思います。だけどパパは、形だけじゃなくて、にんにくそのものを使った浣腸について、「にんにく浣腸をやったら、浣腸でも、汗とか、にんにくのにおいするかな?」と言いました。おっかが、「おならが、にんにくのにおいだったら嫌だね」と言いました。
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武井 怜
1988年生まれ。現在、両親と猫と千葉県市川市在住。動物、お笑い、海外のコメディ、甘いもの、お相撲などが好き。コミックエッセイ『気にしすぎガール~この世のあらゆる物事に気を遣いすぎる女の日常~』(KADOKAWA)発売中。