私が、パパの影響で好きになった存在が、私の記憶に残っている限りでは、ふたつあります。B’zと、お相撲です。
私が小学生の頃、家族でお出かけをするたびに、パパが車で、主にB’zの歌を流していたので、私も大人になってから、B’zの歌を、たくさん聴くようになりました。
お相撲も、パパが前から、お相撲が好きです。パパは、お相撲がやる奇数の月になると、お相撲をテレビで観ています。私は最初、お相撲を観ていなかったのですが、気づいたら、パパと一緒にお相撲を観るようになっていて、お相撲を観ることが好きになっていました。
私は、お相撲を観ていると、なんだかわくわくします。力士たちが、土俵の脇で出番を待っているときや、土俵の上では見られない、力士たちの笑顔を見ることができるインタビューのときなどの、取り組み以外の時間を観ることも好きです。
取り組み以外の時間のひとつに、「土俵入り」があります。土俵入りは、選手入場のことです。土俵入りは、西と東で、それぞれやります。行司さんを先頭に、それぞれの力士の四股名と、出身地と、お相撲部屋の名前が紹介されます。紹介された力士は、土俵に上がって、土俵の円に沿って並んでいきます。そのとき、行司さんは、真ん中にいます。私は、最後に紹介された力士が土俵に上がったとき、必ず、いつもきれいに、全員の力士が土俵におさまることが、すごいなと思います。そして、ここの仕草の、詳しいことはわからないのですが、力士全員が土俵に上がると、力士たちは、とにかくなんだか、両手をあげたりして、何かの儀式みたいな仕草をします。その、力士たちが円になって両手をあげているところがかわいくて、私は、「こういうオルゴールがほしい」と、土俵入りを見るたび、パパに話します。土俵入りの、目覚まし時計もかわいいなと思います。だけど、時計だと、土俵が立つかたちになるので、力士たちが、地面と垂直になってしまいます。だから、一番ほしいのは、やっぱり、土俵入りのオルゴールだなと思います。
パパも、力士たち全員が、いつもきれいに土俵におさまることに、驚いているみたいです。パパは、「最後に紹介される力士が土俵に上がるときに、土俵が、力士たちでぎゅうぎゅうに詰まっちゃっていて、最後の力士が土俵に上がれないっていうの、コントでありそうだ」と、土俵入りを見るたび、笑いながら話します。
エッセイ漫画 <ご近所さんの生活> ほかのお話はこちら
武井 怜
1988年生まれ。現在、両親と猫と千葉県市川市在住。動物、お笑い、海外のコメディ、甘いもの、お相撲などが好き。コミックエッセイ『気にしすぎガール~この世のあらゆる物事に気を遣いすぎる女の日常~』(KADOKAWA)発売中。