氷室京介さんや鈴木雅之さんなど、数多くのアーティストのヘアメイクを担当し、日本代表のヘアアーティストとして欧米でも活躍してきた石渡チカさん(市川市出身)。

現在も美容業界の第一線で活躍する一方、「車いすでも簡単に着られる着物」の開発・普及にも力を注いでいます。
人を支えるのが私の仕事
ヘアメイクアーティストは、外見を美しく仕上げる仕事というイメージです。「でもね、私の仕事は、依頼人のコンディションを整えることなんです。意外でしょ?」と笑います。




どんなに著名なアーティストでも、大勢の観客を前にすれば緊張するもの。ステージ前には髪を整えながら励まし、舞台袖では酸素ボンベを握りしめて待機。戻ってきた時には母のように抱きしめることもあるそうです。
美容界の重鎮「石渡潔」の娘から、一人のアーティスト「石渡チカ」へ


チカさんの父親は、日本美容界のパイオニアの一人。市川市内に「潔美容院」をオープンした後、パリコレなどでも活躍。その技術が国際的に高い評価を得るだけでなく、数多くの美容師を育成し、教育者としても慕われていました。
そんな父の背中を見て育ち、美容の世界へ入ったチカさん。「石渡潔の娘」ではなく、一人のアーティスト「石渡チカ」として認められる道を模索していきます。



素直にまっすぐに届ける情熱と感謝
氷室京介さんのヘアメイクを担当した時のこと。撮影中、セットした髪が何度も顔にかかってしまいました。自分のミスに落ち込んだものの、撮影後「申し訳ありませんでした!」と深々と頭を下げに行きました。そんな素直な姿勢が信頼につながり、長年にわたらヘアメイクを任されるようになりました。
「私を選んで手を握ってくれた方々には愛しかありません。このご縁に感謝です」。
車いすでも楽しめる着物「オールインワン晴れ着」を市川市へ寄付したい!

チカさんは現在、車いすでも座ったまま簡単に着脱できる「オールインワン晴れ着」の普及を進めています。老人ホームで働く友人から「車いすの利用者さんが外出するとき、簡単に着物を着せられないだろうか?」と相談されたことが開発のきっかけでした。
体が不自由になると、おしゃれを諦める人も少なくありません。「もう一度美しく装う喜びを届けたい。いっときでも華やぐ時間を楽しんでもらいたい」。そんな思いから生まれたのが「オールインワン晴れ着」です。
美しさは人を元気にする——着る人にも着せる人にも優しい工夫


試行錯誤の上に仕上がったその着物は、帯もセットされた前身ごろと後ろ身ごろを体に沿わせ、肩の部分で止めるだけ。後ろは帯の上までの作りなので、座ったまま簡単に着用できるのが特徴です。
「父は老後、体が不自由になってからも、明るい色のジャケットを羽織ると、普段は動かない手でボタンを留めようとしたんです。母も綺麗な色の服には自然と手を伸ばしていました」。美しいものは、人の心も体も元気にするのでしょう。
「この着物を市川市へ寄付し、100歳を迎えた方の記念撮影などに活用していただけたら嬉しいですね」とチカさん。
着る人にも、着せる人にも優しい工夫が詰まったこの着物は、すでに多くの笑顔を生み出しています。「美しさは人を元気にする」。その思いは市川から世界へ、そして今は地域や福祉へ。石渡チカさんは、美容を通して一人ひとりの人生に寄り添い続けています。
石渡チカさん プロフィール
真間山幼稚園、市川市立真間小学校出身。
父「石渡潔」に師事し、19歳で単身渡英。ミスユニバース世界大会ヘアメイク担当、パリコレクションヘアアーティストなど、海外で活躍。担当したミュージシャンはリングバード、氷室京介など多数。
2007年、自身のサロン「TRIBE」を表参道から市川へ移転。現在は勝浦に移住。
フォトグラファーとしても活動。




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