
たくさんのご応募ありがとうございました。
ご応募いただいた中から見事選ばれた特選2句、佳作3句を発表いたします。
選者コメント
日本の俳句人口の平均年齢は八十歳を超えていると、前回この欄で記述しましたが、私の俳句結社「沖」の先師・能村登四郎は、米寿で出版した句集『芒種』の巻末後記に「今はこれと言って病はないが、何といっても八十八歳の老躯はしんどい。そんな中で毎月の作品を発表しなければならないのは辛い。しかし考えを替えれば老いてもこのような仕事を持っていることは男として倖せなことだと思っている」と書き残しています。人生百年時代、老いても楽しむことをAIに聞いてみたところ、三つに集約できるそうです。①やっていて時間をわすれること。②できれば人とつながりが生まれること。③頭や身体を少しだけつかうこと。だ、そうです。俳句を作り句会に出るということは、まさに長生きの最高の秘訣ではないでしょうか。
火取虫男の夢は瞑るまで 能村登四郎 『易水』
いちかわ俳壇

特選
- 傾けて道ゆづり合ふ白日傘
(杉並区/すみ)
【評】 暑い日盛りに、細い路地でしょうか、舗道でしょうか、白日傘をさした二人の女性がすれ違います。日傘がぶつからないように、お互いに反対方向に日傘を傾けながら道を譲りあいます。女性の優しい気遣いの所作が浮かびます。ふとした瞬間の女性たちの動作を上手く捉えて、綺麗な景を見事に表現しています。 - 水鏡に揺るるも凛々し杜若
(練馬区/平松桜石)
【評】 アヤメは陸地を好むのに対し、杜若は湿地や水中を好みます。この句は、水面に杜若が映しだされている景です。鏡のような静かな水面に、風に吹かれてか、杜若の花はかすかには揺れて映し出されています。しかし、その立ち姿はきりりとしていて凛々しい姿です。尾形光琳の燕子花図屏風での燕子花の姿が浮かんできます
佳作
- 同じ波は二度と来なくてソーダ水
(船橋/よこさん) - ヘッドライト真白に若葉浮き立たせ
(宮久保/虚空) - 猫が知る風の抜け道夏座敷
(八幡/ニアピン)
行徳俳壇

特選
- 仁王門阿形の舌の夕焼くる
(幸/汐風爽)
【評】 仁王門の阿形像の赤い舌が、夕焼の赤い色と響き合って一層赤く燃える情景が浮かびます。下五「夕焼くる」は「夕やける」という意味の動詞では季語にはなりませんから、これは「夕焼が来る」「夕焼がさしてくる」という意味でしょう。「ゆやけくる」と読むものと思います。阿形の舌の赤さにさらに夕焼けが重なって、仏教的な荘厳さと、どこか生々しい迫力を感じさせます。 - 吹き抜ける昭和の風や夏座敷
(富浜/小川はる乃)
【評】 行徳では、古民家が次々と消えて行き、新建築の建売やマンション、アパートが多く建てられています。アルミサッシとガラスで密封された現代の部屋は、エアコンの効果には最適ですが、外からの風を運ぶことはありません。猛暑・酷暑の令和では日中にガラス戸を開けることもできません。障子を開け、緑の風を入れることができた昭和の夏座敷が懐かしく思い出されます。
佳作
- 青薄跳ねる白穂を待つ河原
(新井/心月) - 胸に棲む和歌山空襲遠花火
(下新宿/T子) - 薫風に子らの声翔ぶ平和かな
(行徳駅前/彩恵)


選者略歴峰崎成規。昭和23年生まれ。
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【8/7~8/28募集分】











