「年齢のせい」で済ませないで
見えにくさや目の疲れを「年齢のせい」と考えていませんか。
加齢による変化の陰に、治療が必要な病気が隠れていることもあります。
50代から気をつけたい目の健康について、順天堂大学医学部附属浦安病院副院長・眼科教授の海老原伸行医師に聞きました。
症状がなくても、目の健診を
年齢とともに、近くにピントが合いにくい、手元の作業で目が疲れるといった変化が現れます。
老眼は加齢に伴う生理的な変化で、眼鏡で十分に見えていれば大きな心配はありません。ただし、見え方が急激に変わったときは受診が必要です。
加齢とともに増える病気には、白内障や緑内障、加齢黄斑変性があります。
中でも注意したいのが緑内障。長い年月をかけて進行し、初期にはほとんど自覚症状がありません。「見えない部分がある」と気づいたときには、かなり進んでいる場合もあります。
父母や兄弟に緑内障の人がいる場合は、若いうちから目の健診を。
特に50代以降は注意してください。
勤務先の健診で眼底写真を撮り、受診につながる人がいる一方、退職後などは検査の機会が減りがちです。自治体の健診や人間ドックを利用する際は、「眼底検査」「眼圧検査」が含まれているか確認しましょう。血圧測定や血液検査だけでは、目の病気は分かりません。
眼底検査は、目の奥にある網膜などの状態を詳しく調べる検査です。緑内障が疑われる変化や、加齢黄斑変性の前兆が見つかることもあり、早期発見につながります。
糖尿病なら、内科と眼科へ
糖尿病と診断されたら、軽症でも、目に症状がなくても眼科で眼底検査を受けることが大切です。
糖尿病網膜症も初期には自覚症状が乏しく、知らない間に進行することがあります。
目の中で出血する「硝子体出血」によって急に見えなくなり、初めて糖尿病が分かる人もいます。
これは目の表面が赤くなる充血とは違い、鏡を見ても分かりません。こうしたケースは30〜40代、時には20代でも見られます。
「見えなくなれば受診します。しかし、大切なのはそうなる前に来ることです」と海老原先生。糖尿病は内科だけでなく、眼科での診察も欠かせません。眼科の受診を勧められたら先送りせず、紹介された医療機関を受診しましょう。
急な飛蚊症は、自己判断しない
黒い点や糸くずのようなものがちらちら見える「飛蚊症」。加齢に伴う生理的なものもありますが、網膜剥離などの前兆として現れることもあります。
初めて症状が出たときや急に現れたときは、自分で判断せず眼科へ。以前から症状があり、一度診察を受けて変化がなければ、過度に心配する必要はありません。見え方の変化を放置しないことが大切です。
まずは、地域の眼科に相談を
目の検査は、地域の眼科クリニックでも受けられます。一般的な白内障手術も、地域のクリニックで対応できます。大学病院では、合併症がある人や難しい手術、全身管理が必要な人などを受け入れ、地域の眼科と役割を分担しています。
「自分が病気の予備軍かどうかは、自分では分かりません」。症状があれば眼科へ、症状がなくても健診を。年齢だけで片づけず、目の健康を守りましょう。

■海老原伸行医師 プロフィール
1989年、順天堂大学医学部卒業。同大学医学部眼科助教授などを経て、2012年より同大学医学部附属浦安病院眼科教授。現在、同院副院長を兼務。医学博士。ぶどう膜炎やアレルギー性の角膜・結膜疾患などの診療に取り組む。











