公開日: 2026年4月17日

【歯と健康】失った歯を補う選択肢の1つ 「歯牙移植術」とは

いちかわ新聞
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むし歯、歯周病、歯が折れたなどなど、なんらかの理由で歯を失ってしまうことがある。その治療法の1つとして「移植」があるのをご存じだろうか。
自分の口腔内で行われる「歯牙移植術」について、市川市歯科医師会の佐藤忠敬医師に話を聞いた。

抜けた場所を自分の歯で補う

歯を失ったままで放置するとどうなるか。歯並びが悪くなるだけでなく、噛み合わせの不調から片噛みばかりするようになり、顔の歪みや頭痛・肩こりなどが起こりやすくなります。それらを防ぐためにも、失った部分を補い、噛み合わせを再建する必要があります。
治療法としては、抜いた歯の前後の歯を大きく削り橋を架けるようにして補う「ブリッジ」、抜いた部分の歯茎の上に取り外し可能な装置を入れる「入れ歯」、人工の歯根を顎に埋め込んでその上に差し歯を作る「インプラント」があり、3つのどれかを選択することが一般的だと思います。
しかしもう1つの方法として「歯牙移植術」という治療法があります。これは、歯が抜けた場所(レシピエント)に、本人の別の歯(ドナー)を移し替える方法です。口の中で噛み合わせに関与していない、たとえば親知らずなどがドナーになります。
まだあまり認知されていないようですが、ぜひ知っておいていただきたい治療法です。

歯牙移植術のメリットと適応条件

歯牙移植術には、次のようなメリットがあります。
●人工歯根のインプラントとは違って、ドナー側に歯のクッション材である歯根膜が存在している。この歯根膜が歯と骨をつなぐ重要な役割を果たす。

●ドナーも自分の歯なので、歯肉が付着することで歯の回りから炎症が波及することを防ぐことができる

●親知らずを移植する場合や同日に処置を行う場合などは、保険が適応されることもあり(条件付き)、治療費がインプラントと比べて安くあがる

以上のように、メリットの多い歯牙移植術ですが、誰もが受けられる治療法ではありません。
ドナーの歯根の回りに存在する歯根膜の細胞の状態が移植の成功率を左右します。よってきれいな状態で抜歯できる歯牙が存在するかどうかが重要です。また、レシピエント側もドナーを受け入れる環境が整っていなければなりません。きびしい制約があるのです。
しかし、「入れ歯やブリッジが嫌だからインプラント」と早急に考えるのではなく、条件はきびしいものの「歯牙移植術」という方法もあるということは知っておいていただければと思っています。
わからないことがあれば、気軽に歯科医にご相談ください。


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