里見公園にまた1つ文化の碑
市川市を拠点に全国規模で活動している「沖俳句会」の主宰者であり、公益社団法人俳人協会の理事長も務める俳人・能村研三氏の句碑が里見公園内に建立された。5月31日(土)、除幕式が行われ、句碑は市川市に寄贈された。これは「沖」創刊55周年の記念事業の一環である。
句碑に刻まれたのは、能村氏の代表作の一つ、「川を生む 山の力や 幟立つ」。山にしみ込んだ一滴の水がやがて川となり大きな流れを生み出すという、大自然の力強さと神秘を詠んだもの。
除幕式当日はあいにくの天候で、時折雨や風が強まる場面もあったが、多くの人々が氏の功績を称えて参列した。
句碑建立委員会代表で沖俳句会同人会幹事長の峰崎成規さんは、「この日を迎えられたこと、市民の一人として、沖俳句会の一人として誇らしく思います」とあいさつ。列席した田中甲市長は、能村氏が俳句ユネスコ無形文化遺産登録推進協議会会長として、俳句を世界へ広げる活動もしていると紹介。「この句にあるように、自然の大きな循環の中に人がいる。私たちは自然と共存共生していかなくてはならない」と話した。
能村氏は「記念すべき日が、このような土砂降りになるとは私の不徳の致すところ…」とユーモアたっぷりに切り出し、俳人として活動しながら、40年近く市川市役所で河川行政に関わり、河川技師として川に携わってきた人生を象徴させる一句だと話した。そして「足元には江戸川、スカイツリー、遠くに富士山を望む最高の場所に句碑を建てられたことを大変うれしく思います」と謝辞を述べた。
この句碑は宗左近詩碑と伊藤白潮句碑の間に建立されている。ここにまた一つ、市川の文化の象徴が誕生した。