
たくさんのご応募ありがとうございました。
ご応募いただいた中から見事選ばれた特選2句、佳作3句を発表いたします。
選者コメント
俳句作りに親しんでいる方々は大変多いですが、日本の俳句人口の平均年齢は八十歳を超えていると言われています。高齢者の方には、俳句は生涯の友で、俳句作りがあるから「生きる力が湧く」と語っておられる方もいます。齢を重ねることで、俳句に「力み」が抜け、「軽み」や「枯れ」の境地が生まれてくるとも言われていますが、私の所属する「沖」の先師・能村登四郎は八十歳を過ぎても、「私は過去の物をいいと思ったことがない。今の自分が一番いい…今日よりも明日、その方がもっといい句が出来るような気がする」と語っています。単に老境から来る「軽み」や「枯れ」だけではなく、過去のものよりも、今日のもの、明日のためには、過去を否定していくのだと強い意志を明言しています。齢を重ねることで、今までに見えなかった自分を客観的に見つめることができ、それ故にさらなる新しい俳句表現が追求できるのだと言っています。齢を重ね、自分をさらに見つめることで、新しい発見があるはずです。人生百年、皆様も俳句作りに挑戦し続けてください
「蟬穴といふ寂莫をのぞき見る」 能村登四郎 『易水』
いちかわ俳壇

特選
- 酔ひ醒めて忘れ尽くして春の宵
(国分/一泡)
【評】相当にお酒を飲んだのでしょう。夜中にふと目覚めると、昨晩飲みながら何を話していたか、その内容をすっかり忘れています。重要なことではなさそうですが、中七の「忘れ尽くして」という措辞がその痛飲の深さを物語っています。たぶんストレスも消えたはずです。「春の宵」には相応しい俳句です。「…醒めて」「…尽くして」と「て」の繰り返しのリズムも効いています。
- 海見えて駆ける麦わら帽子かな
(船橋/よこさん)
【評】海開きがそろそろ始まる季節です。目の前には大きな海が広がっています。思わず駆けだしたくなる気分です。この句は、駆けだす人、例えば子供とか恋人などと具体的に言わずに、「麦わら帽子」と言ったことで、句全体に想像を広げさせます。麦わら帽子が、飛ばされんばかりに勢いよく走っていく姿がイメージされます。
佳作
- ライブグッズ総身に付け聖五月
(杉並区/すみ) - 駅ピアノ拍手の二つ三つうらら
(葛飾区/白翆) - 翡翠の色鮮やかさ真間川に
(東菅野/みかちゃん)
行徳俳壇

特選
- 春雷に柱状節理凛と立つ
(新井/心月)
【評】日本では、東尋坊や高千穂峡など柱状節理のある断崖が景勝地として有名ですが、石柱が連なったような断崖の景色は自然の造形の偉大さを感じさせてくれます。その柱状節理の断崖に、今雷鳴と雷光が眩しく響きわたっています。「凛と立つ」という表現で、柱状節理の堂々とした立ち姿が目に浮かんできます。上五「春雷」の季語がぴたりと嵌っています。
- 黴めきて秘密の文も破り捨つ
(行徳駅前/彩恵)
【評】古くなった手紙でしょうか。きっと本人には大変重要で思い出深い手紙だったのでしょう。ただ、「黴めき」たこともさることながら、この思い出もそろそろ断ち切っても良いだろうと決心したのでしょう。下五「破り捨つ」がその結論です。人は、どこかで秘密を持ち続けたい気持ちと、忘れたい気持ちの両方を持っているようです。上五「黴めきて」が心の状況を物語っています。
佳作
- 今年またいつもの橋で見る桜
(富浜/小川はる乃) - 提灯の火影川面に花見船
(下新宿/T子) - 初夏のサンバのリズム膝で取る
(幸/汐風 爽)

選者略歴峰崎成規。昭和23年生まれ。
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【6/5~6/26募集分】











