公開日: 2025年10月2日

10月「いちかわ・行徳俳壇」結果発表!

明光企画スタッフ
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いちかわ・行徳俳壇

たくさんのご応募ありがとうございました。
ご応募いただいた中から見事選ばれた特選2句、佳作3句を発表いたします。

選者コメント

俳句は散文ではなく韻文詩です。一句を読み終わったとき、余韻が心に残ることが大切です。一句を読んで、「はい、分かりました」という結果や結論で終わってしまっては、感動が残りません。意識的に「結果」や「答え」を避けることが余韻を生み出す効果ではないでしょうか。また、散文ではないのですから、状況を丁寧に説明する必要はありません。あまりにも状況を説明しすぎると、余韻を生み出す隙が無くなってしまいます。説明をなるべく少なくするためには、動詞を少なく、できれば一つぐらいにすることが肝要です。

「天辺に天辺生まる雲の峰」成規(句集『銀河の一滴』より)

 

いちかわ俳壇


 特選

  • 「どうも」には「どうも」と返すアロハシャツ
    (杉並区/おすみさん)

    【評】最近はアロハシャツ姿の男性は少なくなっていますが、リゾート風で派手なアロハシャツは、カジュアルなファッションの代表格です。この気軽さを「どうも」と「どうも」で上手に表現しています。これはハワイではなく、地元のお兄さん同士が顔を合わせた横丁の風景のようにも思えます。
  • 地球瓶をうづむ煎餅菊日和
    (練馬区/桜石) 

    【評】透明な地球儀のような大きなガラス瓶を地球瓶と言いますが、駄菓子や煎餅などを入れて店先にショウケースのように置かれています。この句は、煎餅がこの地球瓶にいっぱい詰められて店先に置かれている景を詠んでいます。座五の「菊日和」が地球瓶の透明な明るさと相和して、穏やかな日差しの中の店先が浮かび上がってきます。

佳作

  • 連猛暑チャイムにあわて服を着る
    (市川/山秀)
  • 水門の水音に聴く今朝の秋
    (葛飾区/白翆)
  • 望郷は色なき風の中にあり
    (船橋市/よこさん)

 

行徳俳壇


 特選

  • 遠嶺より風ゆるやかに稲の花
    (行徳駅前/辰巳姐さん)

    【評】今年は令和の米騒動といわれるように米不足となり、新米の出来高が気になるところです。稲の花は、非常に小さな地味な花で、暑い晴れた日に白い雄蕊が風に誘われて雌蕊に受粉するそうです。筑波山からか、それとも日光連山からでしょうか、遠くの山から吹き寄せる優しい風が稲の花に受粉を促し、稔りの秋を約束させます。
  • 一位の実遊び疲れし子らのもの
    (富浜/小川はる乃)

    【評】 工芸材や仏像彫刻などに使われている一位の木は、晩秋になりますと赤い実を付けます。甘味がありますが、種に毒性があると言われています。しかし、無我夢中で遊んでいた腕白の子供たちにとっては、この一位の実の一粒の甘さはひと時の休憩とともに大事なおやつになるはずです。

佳作

  • 宿題はもうすんだかと法師蝉
    (下新宿/T子)
  • 鉦叩娘と共に泣く電話
    (浦安市/星乃ひかり)
  • 夕風に浴衣の裾が踊りけり
    (末広/無風)

選者略歴

峰崎成規。昭和23年生まれ。
俳人協会会員。結社「沖」同人。平成25年第27回千葉県俳句作家協会新人賞受賞。
平成26年「沖」同人、沖新人奨励賞受賞。平成28年第十六回手児奈文学賞受賞。

 

読者投稿フォームにて
「いちかわ・行徳俳壇」募集中
【10/3~10/24募集分】

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