「いい歯の日」に考える
11月8日は「いい歯の日」。全身の健康にも深くかかわってくるという「口の中の健康」について、市川市歯科医師会広報担当理事、澤野宗如歯科医師に聞いた。

秋が深まり、新米や旬の魚、果物など、食卓の楽しみが増える季節になりました。おいしいものを味わい、家族や友人と語り合い、笑顔で過ごす。その何気ない日常を支えているのが、歯と口の健康です。11月8日は「いい歯の日」。この機会に、ご自身のお口の状態を振り返ってみませんか。
「歯が痛くないから大丈夫」と思っている方も多いでしょう。しかし、痛みがないことと、健康であることは同じではありません。特に歯周病は、自覚症状が乏しいまま進み、歯を支える骨を失うことがあります。歯磨きの際の出血、歯肉の腫れ、口臭、歯のぐらつきなどは、見過ごしたくないサインです。「年のせい」と決めつけず、早めに歯科医院へ相談しましょう。
お口の健康は、全身の健康ともつながっています。例えば、糖尿病と歯周病は互いに悪影響を及ぼす関係にあり、糖尿病のある方では、歯周病の治療によって血糖コントロールの改善が期待できることも分かってきました。医科での治療とともに、お口の管理も続けることが大切です。
毎日の予防の基本は、丁寧な歯磨きです。歯と歯肉の境目に毛先を当て、力を入れすぎず、小刻みに動かします。ただし、歯ブラシだけでは歯と歯の間の汚れを十分に落とせません。デンタルフロスや歯間ブラシを取り入れ、ご自身に合った使い方を歯科医師や歯科衛生士に確認してください。むし歯予防には、年齢に応じたフッ化物配合歯磨き剤も役立ちます。
「最近、硬いものが食べにくい」「お茶でむせる」「口が乾く」「滑舌が悪くなった」といった変化にも目を向けましょう。こうした小さな衰えが重なる状態を「オーラルフレイル」と呼びます。食べにくさから食品の種類が偏ったり、人との会話を避けたりする前に、原因を調べ、必要な治療や助言を受けることが大切です。
歯を失っていても、諦める必要はありません。入れ歯などでかむ機能を補い、清潔に保ち、使い心地を確認することも健康づくりの一つです。合わない入れ歯や、かみにくさを我慢せず相談してください。歯の本数だけでなく、「食べられる」「話せる」という働きを守る視点が欠かせません。
毎日の自宅で行うセルフケアと、歯科医院での定期的なプロフェッショナルケアは、いわば車の両輪です。受診の間隔は、お口の状態や持病などによって異なります。かかりつけ歯科医と相談し、無理なく続けられる習慣にしましょう。
「いい歯の日」を、歯ブラシの当て方を見直す日、歯間の清掃を始める日、健診を予約する日にしてみませんか。今日の小さな一歩が、これからもおいしく食べ、楽しく話し、笑顔で暮らす毎日につながります。
