たくさんのご応募ありがとうございました。
ご応募いただいた中から見事選ばれた特選2句、佳作3句を発表いたします。
選者コメント
俳句を含め文芸は、読み手があって初めて成立するものです。特に俳句は、五七五の短い詩形ですので、読み手が納得するような景を短い一句に表現しなければなりません。しかし感情が溢れるとつい独善的な句に陥りがちになります。「うれしい」「悲しい」「懐かしい」などの感じを、句に直接入れてしまうことが多々あります。読み手が景を感じとる前に、作者が結論を言ってしまうのです。また、何がどうしてどうなった、など説明した場合は、詩的な余韻が伝わりません。難しい言葉や特殊な世界で通用している言葉を使い、ユニークさを誇張しても、読み手には伝わりません。独善的にならないために、①感情を直接表す言葉をなるべく抑えて物や景に託し、②全部を説明せず、③リズムを整えることが、俳句表現の骨子ではないでしょうか。
「真つ新な影に会はむと障子貼る」 成規 (『遊戯の遠景』より)
いちかわ俳壇

特選
- 大伽藍に声明ごとき夜の蟬
(葛飾区/白翠)
【評】京都の大きな伽藍のあるお寺でしょうか。蟬は日が暮れても鳴き止みません。あちらこちら四方から伽藍を埋め尽くすその蟬の声は、まるでこのお寺の大勢の僧たちがお経を唱えている声明のように聞こえます。真夏の夜の蟬の鳴き声を声明ととらえたことが、この句を引き立てています。
- 秋の雲しおりの先をまだ知らず
(さいたま市/川本あん)
【評】秋の雲は、高いところにあり巻雲、巻層雲とも呼ばれています。本を読むことを休止し、そのページに栞を置きました。本はこれから佳境に入っていくのでしょうか。眼を休め、ふと空を見上げると雲は高いところを流れています。その雲はどこへ流れていくのだろうか、そして今読んでいる本の内容はどう進展していくのだろうか。「先をまだ知らず」が上手く状況を伝えています。
佳作
- ばち覗く手提げ抱えて秋祭り
(杉並区/すみ) - 手に馴染む母の鋏や秋日和
(船橋市/よこさん) - 満点の烈火に抗す百日紅
(国分/一泡)
行徳俳壇

特選
- 釣り船にバックミラーや秋入日
(幸/汐風 爽)
【評】釣り船にバックミラーがあることを、この句で初めて知りました。鯊釣りのシーズンには、確かに釣り船が同時に同じ海面にたくさん集まっているのを見かけます。船が動き出すときは、後部の船にも注意を払うはずですので、きっとバックミラーが操舵するところに取り付けられているのでしょう。そのバックミラーに秋の日が反射しています。面白い発見の句です。
- 秋風追ふメリーゴーランドの白馬
(富浜/小川はる乃)
【評】今回のコメントには俳句はリズムを整えることが大切と述べましたが、この句は句跨りの破調の句です。中七ではなく、九文字「メリーゴーランドの」です。ただ、この中九を一気に読んで、下の句を「白馬」で止めてみますと、不思議に言葉が流れます。ぐるくる回転するメリーゴーランドの白馬は、まるで秋風を追い続けているようです。
佳作
- 星月夜墨色迫る富士の峰
(行徳駅前/彩恵) - 豊の秋米寿の背筋まっすぐに
(妙典/しゅんぺい) - 戸袋にカマキリ睨むビーズの眼
(新井/心月)

選者略歴峰崎成規。昭和23年生まれ。
|
読者投稿フォームにて
「いちかわ・行徳俳壇」募集中
【10/2~10/23募集分】












