公開日: 2025年7月11日

「トーキョーコーヒー」代表 吉田田タカシ氏トークライブ

浦安新聞
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深刻化する不登校問題に「大人の居場所づくり」からアプローチ

年々拡大する不登校問題。令和5年には全国の小中学校における不登校児童生徒数は34万人超と過去最多となった。そんな中、注目を集めている活動が「トーキョーコーヒー」だ。

この名前は「登校拒否」のアナグラム(文字を入れ替える言葉遊び)で、「大人が安心できる仲間と楽しく活動することで自分を解放、一方で子育てや教育について学び、話し合う」拠点を全国に500カ所以上作ることを目指す、というものだ。新浦安にも「トーキョーコーヒーうらやす」が存在する。
6月8日(日)には浦安市民プラザWave101において、トーキョーコーヒー代表・吉田田タカシさんのトークライブが開催された。会場は満席で、市民のこの活動への関心の高さがうかがわれた。

子どものために 矛先を変えたアプローチを

ライブ冒頭、内田悦嗣浦安市長があいさつの中で、「不登校児の親の居場所という着眼点は新鮮だ。市としてもぜひ応援していきたい」と語った。
続いて吉田田さんがステージに。デザイナー、ミュージシャン、独創的な教育で知られるアートスクール「アトリエe.f.t.」の代表であり、さまざまな大学で教鞭を執る教育者。今や多方面で活躍する吉田田さんだが、子どもの頃は「皆が同じであること」を強いる大人に強烈な反発を感じていたそうだ。これに正面から抵抗するのではなく、矛先を変えてアプローチすることで、ずっと楽に反対の意思表示ができると知った高校時代の経験などを基に「アトリエe.f.t.」は誕生した。
子どもが気兼ねなく利用でき、大人も気軽に寄付できる「まほうのだがしやチロル堂」の仕組みも、吉田田さんらしい矛先をずらす発想から生まれたものだという。

トーキョーコーヒーは 大人が生き生きできる場所

「トーキョーコーヒー」の始まりは古民家リフォーム。「知らない同士が一つのことに夢中になって取り組むうちに、自ずと対話が生まれ、気のおけない仲間になっていく。親が生き生きと活動していると、一緒にいる子どもも安心して、自然に自分の好きなことをし始めるんです」
学校に行かないという選択をした子どもの声を聞き、時代にあった公教育とは何か、大人たちが集い、意見を出し合う必要がある。そのためには大人が安心できる仲間と心から楽しく、そして本音で学び合える場が不可欠だ。同時にそれは子どもにとっても、安心して自分を肯定できる居場所となる。そんな「場」を増やすムーブメントが「トーキョーコーヒー」なのだ。子どもの有無に関わらず参加可能だ。
「これだけ時代が変わってきているのに、教育だけ何も変わらなくて、本当にいいのか? そう感じている人が集まって、小さな行動を起こすことで、世の中は変わります」と話を結んだ。

(左から)トーキョーコーヒーうらやすの君塚夫妻、この日観客として参加していた浦安市青少年発達サポートセンター(うらやす・そらいろルーム)センター長の中島展さん、そして吉田田さん

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