公開日: 2025年7月25日

【地域サポート】がんサポートのための「新しい形」

浦安新聞
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がん専門の看護師による個別支援ケア

日本人の2人に1人がかかると言われる「がん」。そう診断された場合、治療は医師に委ねるとして、治療に伴う体調の変化や仕事、家族のこと、金銭面など治療以外の不安や悩みは誰に相談すればよいのだろう? 重要なのは「看護師と繋がること」だと、「fubito」代表取締役の柳澤史乃さんは語る。

看護師と繋がるメリットとは?

柳澤さんはがん化学療法看護認定看護師資格を持つ、がん専門の看護師。これまで20年以上にわたって、東海大学医学部付属系列病院で看護外来に携わってきたスペシャリストだ。「看護師にとって一番大切なことは『繋ぐこと』だと教わりましたし、日々それを実感しながら働いてきました。患者さんの不安や悩みを把握して、ソーシャルワーカーに繋いだり医師と面談を設定したり。私は抗がん剤など化学療法に関する資格があるので、医師や薬剤師と連携し、どの薬をどのように使うか、その人の生活パターンを考慮しつつアドバイスすることもあります」。患者と医師、薬剤師、家族など関係者の間に立ち、全体のバランスを見ながら患者と生活を支えるのが看護師の役割なのだという。つまり、がん治療においては、看護師と繋がり、コミュニケーションを密に取ることが、非常に重要になってくる。

必要なときにいつでも繋がれる相談できる「ホットライン」

「それを強く感じたのは、義理の父が膀胱がんと診断され、家で看取るという経験をしたときです。長くがん医療に携わってきたのに、いざ当事者になるとわからないことばかり…」。家族もそれぞれ考え方、感じ方が違うので、がんとの向き合い方について改めて考えさせられたそうだ。
「がんは死を強く意識させる病です。患者はもちろん患者を取り巻く人々もさまざまな疑問、不安を抱えるもの。そこで今まで培った知識と経験を生かし、必要な人に必要な情報を繋げることができないかと考えました」
浦安市のがん医療体制は比較的充実している。例えば地域がん診療連携拠点病院として、順天堂大学医学部附属浦安病院があり、がん相談支援センターも併設されている。さらにがん患者向けの交付金などさまざまな施策もある。「けれどその情報は広く知られているとは言えません。もし、知っていたとしても、病院などの窓口にまずは自分のほうから出かけていく必要があるし、仕事や子育てなどがあれば、この時間を取ることも大変。この隙間を埋めたくて。患者さんとその家族に寄り添い、必要なときにいつでも繋がることができる、そんなサービスを目指して立ち上げたのがfubitoです」と柳澤さん。
現在は1人ひとり異なるニーズに応じて、最適な公的サービスや情報へと繋ぎ、「気持ち」と「生活」を支えるケアを提供。電話、SNS、Zoomを使った相談は24時間365日、無料で受け付けている。
「がんと診断されてかき乱された日常を解きほぐし、何が必要なのか一緒に整理することで、落ち着きと自分らしさを取り戻す、そのお手伝いをしたいのです。患者本人、家族、患者を取り巻く友人など、どなたからの相談も受け付けています」

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