公開日: 2025年6月20日

松下龍之介さんがトークショー

葛西新聞
  • シェア
  • twitter

『一次元の挿し木』著者は江戸川区出身

ミステリー小説の新人賞、『このミステリーがすごい!』大賞で、昨年10月、『一次元の挿し木』が文庫グランプリを受賞した。その著者、松下龍之介さんのトークショーが5月18日(日)に篠崎文化プラザで開催され、区民やファン約60人が松下さんのここだけの話に聞き入った。

松下さんは1991年江戸川区生まれ。トークショーは篠崎図書館の主催で行われ、波多野吾紅館長が聞き手を務めた。
受賞の第一報を聞いた感想を聞かれて、「あれ、大賞じゃなかったのと思った」と松下さん。選考過程で公開された講評では『一次元の挿し木』が有力視されていたからだ。正直な一言に会場はどっと沸き、その人柄に皆一瞬で魅了された。
文庫グランプリは、これは文庫にしてもっと読まれてほしい、という賞だという。実際『一次元の挿し木』は今年文庫化されるや否や30万部に近づくベストセラーになっている。

専門外を突いた功名

現在も大手メーカーに勤めるサラリーマン。「小説を書いていることは内緒にしていたが、受賞をきっかけに社内で『先生』と呼ばれるようになってしまって」と笑う。
専門外の本を読むのが好きで、図書館に行くと、近くにある本を片っ端から借りて読んでいるという。今回の物語もベースは専門外のDNA鑑定。「専門分野を書くとこだわりすぎる。専門外を扱ったほうが自分も素人目線でかみ砕くので、読者にもわかりやすくなるのではないか」と解説する。
また、意外にもミステリー小説はあまり読んだことがないそうで、「ここで名探偵登場というようなミステリーの型に、私はこだわりがない。それがミステリー初心者の読者にむしろ響いたようです」。

篠崎図書館が原点

幼少期、篠崎図書館で『ワニくん』シリーズの絵本を借り、家で母に読んでもらった。「ワニくんが大好きで、それが私の本と図書館との出合いであり、原点」と振り返る。
トークショーの終盤は質疑応答もあり、最後は受賞のお祝いと今後への期待をこめた大きな拍手が送られた。終了後は本のサイン会も行われ、うれしそうに並ぶ聴衆の列が続いていた。

  • シェア
  • twitter
The following two tabs change content below.

月別アーカイブ