行徳の水産物で近年注目されているホンビノス(本美之主)貝。味の良さや、さまざまな料理に使えることから人気の食材だ。まだニューフェイスながら市川を代表する特産品の1つとなったホンビノス貝について、2013年から東京湾でホンビノス漁を行っている赤羽広昭さんに話を聞いた。
北米からやってきたホンビノス貝
ホンビノス貝は北米大陸原産の二枚貝。船舶の安定性を保つために船底のタンクに汲み入れる海水(バラスト水)に貝や卵が混ざって日本へと運ばれ、定着した。現在、主に東京湾や大阪湾に生息しており、東京湾では三番瀬で漁獲されている。
「東京湾北部は荒川や江戸川が流入して淡水が混ざるエリア。この環境がホンビノス貝に適しているのでしょうね。三番瀬の潮干狩りで採ったことがある人もいるのではないでしょうか」
食味の良さが注目され、2007年ごろからは首都圏の鮮魚店やスーパーに並ぶようになった。次第に水産物として採貝される機会が増えたこともあり、2013年、漁業権が設定された。
2017年には、重さ50~100gで白色もしくは灰色の貝が「三番瀬ホンビノス貝」として千葉県のブランド水産物として認定されている。
ホンビノス貝は女神のような存在
ホンビノス漁は通年行われるが、寒い時期は砂に深く潜ってしまうため、浅い場所に生息する春から秋にかけて漁獲量が増える。
「年に2回ほどある産卵期も暖かな気候のころで、身がふっくらとして、より食味が良くなります」
昼までの出荷に合わせて、漁は日の出の時間から始まる。底引き船による漁法もあるが、赤羽さんの漁法は「大まき」。船の上から、棒の先に爪がついた大きなカゴ(鋤簾=じょれん)で砂をすくい上げながら、潜っている貝を掘り起こして獲っていくというものだ。現在、双方の漁法合わせて行徳からは20~30ほど船が出て、漁を行っているという。
ホンビノス貝はアサリやハマグリなど他の二枚貝に比べて強く、青潮などの影響も受けにくいため安定した漁獲が可能となる。比較的日持ちもするので、出荷しやすいというメリットもある。
「ホンビノスの『ビノス』はビーナスの意味ですが、漁師にとってはまさに女神のような存在。しかし、外来種であるホンビノス貝は放流はできません。資源保護のため週2日は漁をしない、重さ30g以下の小さな貝は獲らないなど、漁業組合でルールを作って対応しています」
どんな料理・調理法でもおいしい
もともと漁師の家系だったわけではなく、海が好きでこの仕事を選んだという赤羽さん。生まれ育った行徳の海で獲れるホンビノス貝の魅力を「とにかく、おいしいところ」と強調する。
揚げ物、酒蒸し、バーベキュー、クラムチャウダー、パスタ、キムチの和え物など、和洋中あらゆる料理・調理法で使えるという。
「オリーブオイルとの相性はとてもいいです。旨味も強く、魚や肉と合わせてもおいしくなるので、さまざまな料理で味わってみてください。また栄養価も高いので、食べたら元気になれます。私も毎日食べているので、元気です(笑)」
漁業組合が開催している朝市でも大人気のホンビノス貝。地元が誇る海の恵みを、ぜひ味わってみてほしい。
【7月の漁港朝市】
日程 | 7月6日(日)8:00~11:00開催予定 ※荒天中止 |
場所 | 市川漁港(市川市塩浜1丁目3番地先) ※会場には駐車場・トイレなし |
問い合わせ | TEL: 090-3544-8854/市川市漁業協同組合朝市担当 |