夏が近づいてくると気になるのが食中毒。気温と湿度が上昇すると、食中毒を引き起こす菌が繁殖しやすくなってしまう。近年は梅雨に入る前から気温が高くなる日も多いので、今の時期からしっかりと対策をしておくことが望ましい。そこで今回は、家庭でできる食中毒の予防について紹介する。
食中毒の原因は主に2つ
夏場は細菌に注意
食中毒は、原因となる細菌やウイルスが食べ物に付着し、体内に入ることで引き起こされる。
ウイルスが原因となる食中毒は冬場に多く発生する。代表的なのがノロウイルスで、調理者から食品を介して感染することが多い。大規模化するケースも目立ち、年間の食中毒患者数の4割以上を占めている。
一方、細菌が原因の食中毒は夏場に多く、腸管出血性大腸菌(O157、O111など)やカンピロバクター、サルモネラ菌などが代表的な細菌だ。食中毒を引き起こす細菌の多くは約20℃で活発に増殖し始め、人間や動物の体温くらいの温度で増殖のスピードが最も速くなる。高温多湿を好む細菌が多いので、これからの季節は注意が必要だ。
細菌を「つけない・増やさない・やっつける」
細菌による食中毒を防ぐには、細菌を食べ物に「つけない」、食べ物に付着した細菌を「増やさない」、食べ物や調理器具に付着した細菌を「やっつける」の3つが原則だ。
つけない=洗う・分ける
原因菌を食べ物に付けないために、以下のようなときは必ず手洗いをしよう。
・調理前
・生の肉や魚、卵を扱う前後
・調理途中でのトイレや鼻をかんだ後
・おむつ交換や動物に触れた後
・食卓につく前
・残った食品を扱う前
まな板や調理器具は、加熱せずに食べる物を先に扱い、生の肉や魚で使用した際はその都度きれいに洗い、できれば殺菌を。焼肉は生の肉と焼けた肉で箸を使い分ける。食品を保管する場合は密閉容器に入れたりラップをかけて、菌の付着を防ごう。
増やさない=低温で保存
細菌の多くは10℃以下で増殖がゆっくりとなり、マイナス15℃以下で増殖が停止するので、食材は低温での保存が基本だ。生鮮食品や惣菜は購入後できるだけ早く冷蔵庫に入れ、かつ、早めに食べることを心がけたい。
やっつける=加熱処理
ほとんどの細菌は加熱によって死滅するので、生鮮食品は加熱すれば安全に食べることができる。特に肉料理は、中心部を75℃で1分以上加熱することを目安にしよう。ふきんやまな板など調理器具は洗剤でよく洗った後、熱湯をかけて殺菌。台所用殺菌剤の使用も効果的だ。
買い物や残った食品の扱いにも注意
ほかにも家庭で食中毒を予防するポイントがいくつかある。
買い物の際は食材の消費期限を確認し、生鮮食品や冷凍食品は最後に購入。肉や魚は、汁が他の食品に付かないよう分けてビニール袋に入れる。帰宅後は食材をすぐに冷蔵庫・冷凍庫へ。冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫はマイナス15℃以下を保つことが大切だ。
残った食品は清潔な容器に保存。温めなおすときは十分に加熱してから食べる。また、時間が経ちすぎたり、少しでも怪しいと思った場合は食べずに廃棄することも必要だ。
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対策を徹底していても、食中毒になってしまうかもしれない。もしも嘔吐や下痢、発熱などの症状が現れた場合は自己判断せず、早めに医療機関を受診しよう。
※政府広報オンライン「食中毒予防の原則と6つポイント」をもとに編集して作成