自分らしく表現する喜びを求めて
今年5月、ドイツ・フュルト市から若手芸術家を対象とした「レオンハルト&イダ・ヴォルフ奨励賞」が、浦安市出身のダンサー伊能羽希さんに贈られた。これは芸術・文化の分野で優れた活動を行う若者を後押しする賞で、コンテンポラリーダンスを中心としたこれまでの活動が評価されたもの。「やってきたことを認めてもらえて、うれしい。励みになります」と喜ぶ伊能さんに、これまでの道のりを聞いた。

写真:Marco Caloiaro
バレエダンサーへの道
伊能さんは6歳のとき、母の勧めで近所のバレエ教室に通い始める。舞浜が地元だったこともあり、東京ディズニーランドのショーにも親しみ、音楽やダンスに心を躍らせた。そのころの夢は「バレリーナ」。
その後、本格的にクラシックバレエのレッスンに励み、数々の舞台やコンクールに挑戦した。しかし、順位を競うことに違和感を覚え、カンパニーの入団試験にも苦戦したという。
コンテンポラリーダンスとの出合い
2021年、自分の次のステージを探すため、ドイツ留学へ。体の仕組みから学び、指導に生かせるダンス教師の資格を取得することが渡独の目的だった。プロフェッショナルダンスアカデミー「Mind and Dance」で学ぶ中、出合ったのがコンテンポラリーダンスだった。
「自分の思うままに表現できる。内面も含め、ダンサー自身のすべてが表れるのがコンテンポラリー」
クラシックバレエとは異なる自由な表現に強く惹かれた伊能さんはその後、ソロ作品の発表や映像作品の制作など、活動の幅を広げていった。
経験で深まる表現力さらなる飛躍を
現在はドイツでダンス教師として働きながら、ダンサーとしても活動している。「順風満帆ではないけれど、自分の足で未来を切り開いている充実感がある」と笑う。
絵を見たり、本を読んだり。大学時代に学んだ哲学も創作の源だ。「いろいろな経験をしたほうが、深い表現や振り付けができる。人生そのものを豊かにしたい」と話す。
故郷・舞浜が大好きだと言う伊能さん。「観光客で混雑する駅も、地元の人は温かく見守る、優しい場所です」とほほ笑む。今年の夏も帰国し、古巣である浦安のバレエ団「エコール・ド・バレエ・ル・ソル」の発表会に参加したそうだ。
ドイツでつかんだ新たな表現をさらに磨き、伊能さんはこれからも自分らしい踊りを追い続ける。











