江戸川区出身の小説家・松下龍之介さんによるトークショーが、2025年5月18日(日)に篠崎文化プラザで開催されました。
松下龍之介さんは、デビュー作『一次元の挿し木』で第23回『このミステリーがすごい!』大賞・文庫グランプリを受賞した注目の作家です。
会場には区民やファンなど約60人が集まり、作品の裏話や創作のきっかけ、江戸川区で過ごした子ども時代の思い出に耳を傾けました。
この記事では、松下龍之介さんのプロフィール、代表作『一次元の挿し木』、篠崎文化プラザで行われたトークショーの様子を紹介します。
松下龍之介さんとは

江戸川区出身の小説家・技術者
松下龍之介さんは、1991年生まれの江戸川区出身の小説家です。千葉工業大学大学院工学研究科修士課程を修了し、現在も会社員として働きながら執筆活動を続けています。
本業では、火力発電所や製鉄所向けの高圧ポンプの設計や技術提案に携わっているそうです。小説家でありながら、技術者としての顔も持っている点が、松下龍之介さんの大きな特徴です。
専門的なテーマを物語に落とし込む作家
デビュー作となった『一次元の挿し木』では、DNA鑑定や遺伝人類学といった専門的なテーマを扱っています。
難しそうな題材でありながら、読者が物語に入りやすいミステリーとして高く評価されました。
代表作は『一次元の挿し木』
第23回『このミステリーがすごい!』大賞 文庫グランプリ受賞作
松下龍之介さんの代表作は、宝島社文庫から発売された『一次元の挿し木』です。この作品は、2025年の第23回『このミステリーがすごい!』大賞で文庫グランプリを受賞しました。
二百年前の人骨と失踪した少女のDNAが一致する物語
物語は、ヒマラヤ山中で発掘された二百年前の人骨のDNAが、四年前に失踪した少女のものと一致するところから始まります。普通では考えにくい謎をきっかけに、主人公が大きな企みに巻き込まれていくSF謀略ミステリです。
宝島社の公式ページでも、選考委員から「謎の牽引力」や「ストーリーの面白さ」が高く評価されています。発売後は大きな反響を呼び、発売約3か月で30万部を突破しました。
『一次元の挿し木』が注目された理由
最初の謎が強い
『一次元の挿し木』が注目された理由は、最初に出てくる謎の強さです。「二百年前の人骨」と「四年前に失踪した少女」のDNAが一致するという設定は、読者に強い疑問を残します。
なぜそんなことが起きるのか。
少女は本当に何者なのか。
この先どう展開するのか。
最初の時点で読者を一気に引き込む力があります。
専門的なのに読みやすい
松下龍之介さん自身が技術者であり、研究や専門分野に近い世界を知っていることも作品の説得力につながっています。一方で、本人はトークショーで「専門外の分野だからこそ、読者と同じ目線に立てる」という趣旨の話もしていました。
専門的なテーマを扱っていても、読者が置いていかれにくい。ここが『一次元の挿し木』の読みやすさにつながっているのかもしれません。
篠崎図書館で松下龍之介さんのトークショーを開催

聞き手は篠崎図書館の波多野吾紅館長
今回のトークショーは、篠崎図書館の主催で行われました。聞き手を務めたのは、篠崎図書館の波多野吾紅館長です。
会場となった篠崎文化プラザには、松下龍之介さんのファンや地域の人たちが集まりました。
作品づくりや会社員との両立について語る
トークショーでは、受賞の知らせを聞いたときの気持ちや、作品づくりの裏側、会社員として働きながら執筆する大変さなどが語られました。
受賞後、会社の人から「先生」と呼ばれるようになったという話では、会場に笑いも起きていました。作品の話だけでなく、松下龍之介さんの穏やかな人柄が伝わる時間になっていました。
松下龍之介さんと篠崎図書館の関係
幼少期に通った思い出の場所
松下龍之介さんにとって、篠崎図書館は思い出のある場所です。幼少期には篠崎図書館で『ワニくん』シリーズの絵本を借り、家でお母さんに読んでもらっていたそうです。
本と図書館との出会いが創作の原点に
松下さんは、その絵本との出会いを「本と図書館との出合いであり、原点」と振り返っていました。小説家としてデビューし、注目作家となった松下龍之介さんが、子どものころに通っていた地域の施設でトークショーを行う。
これは、江戸川区の読書文化にとっても、とても意味のある出来事です!
創作の裏側も語られたトークショー

専門外の本を読む習慣
トークショーでは、『一次元の挿し木』の創作についても多く語られました。松下龍之介さんは、昔から専門外の本を読むことが好きだったそうです。
図書館に行くと、近くにある本を片っ端から借りて読んでいたという話もありました。
DNA鑑定を題材にした理由
今回の作品で扱われているDNA鑑定も、松下さんにとっては専門外のテーマでした。ただ、専門外だからこそ、自分自身も読者と同じように調べながら理解することになります。
その結果、難しい内容をかみ砕いて書くことにつながったのかもしれません。
ミステリーの型に縛られなかった作品づくり
松下さんはミステリー小説をたくさん読んできたタイプではないそうです。そのため、いわゆる「名探偵が登場して事件を解く」という型に強く縛られず、ミステリー初心者にも読みやすい作品になったようです。
『一次元の挿し木』はドラマ化でも話題に
2026年7月から日曜ドラマとして放送
『一次元の挿し木』は小説としてのヒットだけでなく、ドラマ化でも注目されています。2026年7月5日から、読売テレビ・日本テレビ系の日曜ドラマ(毎週日曜よる10時30分)として放送が始まりました。主演はHey! Say! JUMPの山田涼介さん。白石聖さん、木戸大聖さん、土居志央梨さん、松下由樹さん、吉原光夫さんらが共演しています。放送後はTVerで期間限定の見逃し配信があり、Huluでも配信されています。
原作として松下龍之介さんの名前にも注目
読売テレビの公式サイトでは、原作として松下龍之介さんの『一次元の挿し木』が紹介されています。
小説で注目を集めた作品が、映像作品としてさらに広がっていることも、松下龍之介さんの名前が多く検索されている理由の一つといえます。
江戸川区から生まれた注目作家
篠崎図書館から広がった読書体験
松下龍之介さんは、江戸川区出身の作家です。子どものころに篠崎図書館で本と出会い、現在は会社員として働きながら小説を書き、デビュー作で大きな賞を受賞しました。
その歩みは、地域で本に親しむ子どもたちにとっても、身近で大きな刺激になるはずです。
地域に戻ってきた受賞作家のトークショー
篠崎図書館でのトークショーは、単なる受賞記念イベントではありません。江戸川区で育った一人の作家が、原点の場所に戻ってきた時間でもありました。
今後も、松下龍之介さんの作品と活動に注目です。
松下龍之介さんのプロフィール
名前:松下龍之介(まつした・りゅうのすけ)
生年:1991年
出身:東京都江戸川区
居住地:茨城県牛久市
学歴:千葉工業大学大学院工学研究科修士課程修了
職業:会社員・小説家
代表作:『一次元の挿し木』
受賞歴:第23回『このミステリーがすごい!』大賞・文庫グランプリ
『一次元の挿し木』の作品情報
作品名:一次元の挿し木
著者:松下龍之介
出版社:宝島社
発売日:2025年2月5日
判型:文庫判
ページ数:384ページ
ISBN:978-4-299-06404-2
受賞:第23回『このミステリーがすごい!』大賞 文庫グランプリ








