
たくさんのご応募ありがとうございました。
ご応募いただいた中から見事選ばれた特選2句、佳作3句を発表いたします。
選者コメント
私事で恐縮ですが、昨年第二句集『遊戯の遠景』を刊行いたしました。多くの方に句集評をいただきましたが、その中で私の心に残るような俳句観を教えていただいた評がありました。「俳句は、多くを語らない短さ、季語の本意、切れによる段差、それらによって、語る以上の広がりを持つ、透視画的要素をもとから含んでいる。俳句には使う言葉の量よりもはるかに大きな景を見いだすことができる」と。今後の句作りに励ましのような評をいただきました。句集の表紙のジョルジュ・デ・キリコの絵のように、今後も現実の理屈のみに囚われず、広い視野に立って俳句を詠んでいきたいと思っています。
「春雷や彫師の鑿に龍の浮く」成規(句集『遊戯の遠景』より)
いちかわ俳壇

 特選
- シャンソンを聴きオリオンを連れ帰る
 (宮久保/正美)
 【評】シャンソンを聴きシャンソニエ(シャンソンのライブハウス)から出てきたところでしょうか。空を見上げるとオリオン座(冬の季語)が奇麗に見えています。心に残ったシャンソンの響きとともに、今見たオリオン座の輝きを眼裏に収め、家路についたのでしょう。
 中村草田男の句に、「オリオンと店の林檎が帰路の栄(ハエ)」
 
- 落ち合へば変はる川の名春の水
 (葛飾区/白翠)
 【評】一本の川でも場所によって名前が変わります。例えば上流では、千曲川、下流では信濃川となります。また上流の幾本の支流が合流すると、それまでの支流の名はその合流地点で消え、太くなった川は別の名に変わります。そのような川の名が変わることに「気づき」、座五を「春の水」でやわらかく結んだとても上手い句です。
佳作
- 引く波の記憶の欠片桜貝
 (宮久保/虚空)
- 公魚の釣られ朝日の綺羅となる
 (国分/青空)
- ものの芽の膨れつつ山膨れつつ
 (八幡/ニアピン)
行徳俳壇

 特選
- 春時雨一駅通ず地下通路
 (幸/汐風爽)
 【評】春の時雨は、冬のそれと違ってやや明るさが感じられます。ただ、作者は今日雨は降らないだろうと傘を持たずに出かけたのでしょう。突然の雨でしたが、運よく目的地まで外に出ることなく行ける地下通路を発見したのです。突然の困惑でしたが、地下通路のおかげで濡れずに済みそうです。雨が上がれば明るい春の日差しでしょう。
 
- 猫呼べど薄目一瞬目借り時
 (行徳駅前/彩恵)
 【評】 「目借り時」は、春の暖かさについつい眠くなる状態を言います。蛙が人の目を借りていったから眠たくなるのだという俗説もあります。人が眠たくなるくらいですから、猫はなおさらでしょう。大きな声で猫を呼んでも、一瞬薄目を開けますが、また眠ってしまったようです。暖かい春の「眠気」の様子が上手く詠まれています。
佳作
- 寺町に豆腐の老舗蔓柑子
 (宝/伊予小町)
- 笙の音の静かに消ゆる寒北斗
 (宮久保/正美)
- 街騒にリズム生まれて春動く
 (松戸市/若仙人)



| 選者略歴峰崎成規。昭和23年生まれ。 
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【3/28~4/18募集分】
 
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