新施設が続々オープン ICHICO事業も順調
去る2025年のトピックスの1つが、3月に立て続けにオープンした「八幡市民交流館 ニコット」「ぴあぱーく妙典COCO」「国府台スタジアム」の公共施設。憩いの場が増えたことに、「市民からは多くの喜びの声が届いています。税金を使って建設した施設ですから、喜んでもらえるのが何よりです」と田中市長。また、2023年度から継続して導入しているデジタル地域通貨「ICHICO」事業は、米の価格高騰を背景に少しでも市民に安く米を手に入れてもらおうと「ICHICO 30%還元 市川でお米を安く!!キャンペーン」を実施。約2カ月で還元ポイントの発行総額が予算上限7500万円に達し、多くの市民が恩恵を受けた。
「防災グッズの購入や、省エネ家電の買い替えや新規購入でのポイント還元にも取り組んでいます。こうしたお得なキャンペーンをさまざまに展開することで、より多くの市民にICHICOを活用していただきたい。現在、登録者数は約5万人ですが、15万人を目指します」と一層、認知度拡大や利便性向上に努めると話す。
合併70年の記念事業は「行徳の塩」の復活
2026年の市政最初の大きなイベントとしては、1月23日(金)に行徳文化ホールI&Iで、「行徳・南行徳 市川市と共に歩んで70年」と題して、記念講演と座談会、第七中学校吹奏楽部による演奏会を実施予定。1955年に当時の行徳町が、1956年に当時の南行徳町が市川市に合併して70年を迎えることを祝って行われるものだ。これを機に、市は記念事業としてかつて豊かな塩田で盛んに作られていた「行徳の塩」の復活を手掛ける。
田中市長は、「塩焼や塩浜など塩の付く地名が今も残る行徳は、戦国時代から昭和まで塩を作り続けていた土地でした。昔は、『塩を持ってきて』を、『行徳持ってきて』と言ったほど。昔、行徳で塩田を営んでいた家の方の協力を得て、三番瀬の海水を使った行徳の塩を再生する計画です。市内外の皆さんにも手に取っていただけるよう、販売も検討しています」と話す。1月23日のイベントでは、来場者にいち早く行徳産の塩をプレゼントする予定だ。
「教育改革元年」に脱炭素の取り組みも推進
また、2026年度の目玉施策として、田中市長は「教育改革」と「環境先進都市」の2つを挙げる。教育改革に関しては、子どもたちの言語力向上を目指した取り組みを進める。
「ALTと呼ばれる外国人指導助手を小学校にも派遣して、国際社会で活躍するために必要な英語力を高める教育に力を入れたいと考えています。また、英語だけでなく母国語である日本語でしっかりものを考え、感性を磨く教育にも注力しなければいけません。新たに文部科学省から招いた教育長と共に、市川市の教育の長所と短所を見極め、弱い部分を伸ばせる教育に取り組む所存です」
環境先進都市については、昨年5月に環境省から選定を受けた「第6回脱炭素先行地域」としての取り組みを中心に推進していく。まずは、ファミリー向け賃貸住宅が多い妙典エリアの賃貸集合住宅を中心に、断熱改修による省エネと太陽光発電設備の設置による創エネを実施する。現在建設中のクリーンセンターが完成した暁には、ごみ発電システムの活用によって高効率発電を展開し、より一層、カーボンニュートラルの実現に向けた再エネ事業を推し進める。「これには、市民のごみ分別への協力が欠かせません。都内では多くの市区町村でごみ袋の有料化が進んでいますが、しっかりと分別することで効率よく再資源化ができれば、市川市は有料化をしなくてもよくなるはずです。ご自身の将来の負担を減らす意味でも、ぜひともごみ分別にご協力ください」と呼びかける。
2025年の11月30日現在、市川市の人口は49万8335人で、50万人の達成はもうすぐだ。老若男女、そして日本人も外国人も入り混じった街であるからこそ、多様性をより良い方向に生かす施策が必要だ。
「必要なものをテンポよく提供できる行政でありたい」と語る田中市長の新たな年の動きに期待したい。

田中 甲 市川市長