市川市から文学界に新風
市川市と三田文学会が創設した第1回永井荷風文学賞の授賞式が11月24日(休)、山崎製パン㈱総合クリエイションセンター(市川3)で開催され、文学賞1人、新人賞2人に賞を授与し功績をたたえた。
永井荷風は文芸誌「三田文學」を創刊し、明治から昭和の日本文芸の礎を築いた。晩年を市川市で過ごし名誉市民となっている縁から、同市と三田文学会が同賞を設立した。
文学賞は既刊本が対象で、東大名誉教授(思想史)の田中純さんの「磯崎新論(シン・イソザキろん)」(講談社)が選ばれた。世界的建築家の磯崎氏の多くの著作をひもとく780ページに及ぶ評伝。
新人賞は未発表の小説、評論を公募した結果、春野礼奈さんの「コーロキの蒐集(しゅうしゅう)」、湯谷良平さんの「夜警」が選ばれた。2作品とも小説で、作品は「三田文學」夏・秋合併号に全文掲載されている。
田中さんは「文人としての磯崎さんを描いた本作の受賞を励みに、今後も古今東西の文人の評論、エッセイに取り組みたい」と抱負を述べた。
春野さんは「小説を書いているととても幸せ」、湯谷さんは「15歳で書き始めて10年目で、両親や友人も喜んでくれた」と、さらなる飛躍を期していた。
授賞式には、賞の実行委員長の田中甲市長、副委員長の荻野アンナ三田文学会理事長をはじめ関係者、市民らが参加した。
