公開日: 2025年12月8日

<ご近所さんの生活 第57話 武井 怜>エッセイ漫画 【毎週更新】

baychibainfo
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市川市で暮らす、パパ(父)と、おっか(母)と、ごはちゃん(猫)と、私(武井怜)の日常の、漫画と文章です。
ちょっと気になる「ご近所さんの生活」を、我が家のでよかったら、見てもらえたら嬉しいなと思います。

 

【第57話】
ばばあの話

我が家の下に、前から、1匹の猫がいます。茶色と白の2色の柄の猫です。前は、ちょびひげの猫とか、ちょびひげの猫と仲のいい猫とか、もっとたくさん猫がいました。だけど、最近よく見かけるのは、その猫だけです。その猫は、めすです。その猫は、前は、とてもやせていて、ものすごく小さな体の猫でした。だから私は、まだこどもの猫だと思っていました。だけどおっかは、その猫は、こどもではなくて、やせたおばあさんだと言いました。だから、いつのまにか、私とパパは、その猫のことを、ばばあと呼ぶようになりました。おっかは、ばばあと呼ぶのは良くない、と思っているのか、おばばさん、とかいうふうに呼んでいます。

ばばあは、夏の前とか、夏の頃はやせていたのに、最近、太っています。そして何より、毛並みが、外で生きている猫とは思えないほどに、ふわふわで、とてもきれいになっています。おっかは、最近のばばあは、ごはちゃんよりきれいになっている、と言います。

パパが言うには、ばばあは、私が、ばばあのことを、最近よくこのあたりにいるなぁ、と思う前からいたらしいです。その頃のばばあは、人間に対する警戒心が強くて、すぐに走って逃げていたみたいです。だけど、最近のばばあは、警戒するどころか、人間に向かって、にゃーと鳴いて、足元に駆け寄ってきて、お腹を見せて転がります。私は、ばばあは、ヒトに媚を売った方が、食べものも食べられるし、毛もきれいになって、良いことが多いなぁ、と思い始めたのかな、と思っています。

ばばあは、声があまり出ません。だから、にゃーと鳴いて、と、さっき書きましたが、本当は、にゃーとは鳴いていません。声が出なくて、シャーという威嚇みたいになっています。だけど、さっきの文章で、最近のばばあは、警戒するどころか、人間に向かって、シャーと鳴いて、足元に駆け寄ってきて、お腹を見せて転がります。だと、ばばあの情緒が不安定みたいになるな、と思いました。だから、とりあえずそこでは、わかりやすく、にゃーと書きました。だから、私は最初、ばばあに鳴かれたときに、ばばあに、シャーと威嚇されたのかと思いました。今思い出したのですが、だから、ばばあのことが憎たらしくて、ばばあという呼び方になったのでした。それで、ばばあは、声が出なくて威嚇みたいに鳴くだけで、実は、シャーみたいなやつは、あいさつをしているんだということがわかったあとも、ばばあと呼んでいることを思い出しました。

 

<ご近所さんの生活>エッセイ漫画
前のお話はこちら

 

武井 怜

1988年生まれ。現在、両親と猫と千葉県市川市在住。動物、お笑い、海外のコメディ、甘いもの、お相撲などが好き。コミックエッセイ『気にしすぎガール~この世のあらゆる物事に気を遣いすぎる女の日常~』(KADOKAWA)発売中。

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