
紐を編んだり結んだりして文様を作る韓国の伝統工芸「メドゥプ」。
韓国で学んだ技術を日本に広めようと、市川市在住の高野順子さんは講師として活躍している。

メドゥプは、4世紀ごろ中国から朝鮮半島に伝わった飾り結び。陰陽五行の考えに基づく五色の色を組み合わせ、長寿や健康、繁栄を表す縁起の良い形に結ぶ。例えば、トンボの形は”前進”、指輪の形は”長寿”や”良き縁”を表す。
日本には6世紀頃に遣隋使が伝え、水引として今も祝儀袋などに使われている。日本の水引は和紙で結ぶが、韓国のメドゥプは紐を使用する。

韓国の展示会に出品した作品。全て高野さん作
高野さんは韓国に約10年の在住経験をもつ。20代の頃、高麗大学へ語学留学とワーキングホリデーで滞在していた当時、ポジャギ(韓国伝統のパッチワーク)を習い、その中でポジャギ作品に使われるメドゥプに出会った。さらにその後、メドゥプを本格的に学ぶようになり、厳しい指導を受けながら教室を修了。講師としての一歩を踏み出した。
完成作品を見ると簡単そうに思ってしまうが、制作工程を見ると複雑さに驚く。「見ていただいたほうが早いですね」と高野さん。早速実演していただいた。紐はハリと硬さがあるしっかりしたものだ。

紐を指にかけ、紐を複雑にくぐらせながら形を作る。どのように紐を通せば形になるのか、紐の流れを理解していないとできない技術だ。

紐がねじれないよう、向きを見極め整えながら丁寧にゆっくり締めていく。

仕上げに、目打ちのような器具で紐を細かく整え、美しい結び目や花びらが形作られていく。できあがったのは菊。”成長”を意味する結び方だ。

作品は、「メドゥプ屋」として、ネット販売のほか市内外で開催されるマルシェなどでも販売している。ベイエリア近隣では、オアシス妙典のマルシェや潤の珈琲マルシェに出店。

また、行徳の法伝寺やシャポー市川のイベントなどでワークショップを開き、親子で楽しめるワンデーレッスンも開催してきた。

メドゥプの魅力を伺うと「どこででも作れること。広い机も不要で、道具は殆ど使わないので準備や片付けも簡単です。電車やバスの中でもでき、途中でもササっとバッグの中へしまえます。ちょっとした暇つぶしにも、手先や頭のトレーニングにも最適ですよ!」と柔らかな笑顔で語った。

この秋から、オアシス妙典の体験教室「まなびや」で、毎月第4水曜日定期講座を開講。
直近では、11/26(水)12/24(水)、いずれも午前10時から2時間の講座だ。
通常はワンデーレッスンとしてのワークショップだが、希望があれば定期受講も可能。
申し込みは「メドゥプ屋」InstagramのDMから。

講座ではクリスマスリースなど季節に合わせ、初心者でもトライできる作品が作れる。現代風にアレンジしたデザインは、部屋のインテリアやアクセサリーとして普段使いもしやすい。高野さんは「日本でもメドゥプがもっと知られて欲しい」と願う。
![]()
ほかの「記者あしも」の記事はこちら