公開日: 2025年9月18日 - 最終更新日: 2025年9月18日

【医療特集】白内障とは? 大切な眼内レンズの話

葛西新聞
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高齢者に多く見られる目の病気「白内障」。どのような症状があるのかや、治療の基本である手術について西葛西・井上眼科病院の溝田淳院長に話を聞いた。

 

西葛西・井上眼科病院
溝田淳院長

水晶体が濁る「白内障」

「白内障」は、眼の中の水晶体が加齢などによって濁り、視界がかすむ、ぼやける、まぶしいといった症状を引き起こす。60代で約7~8割、80歳以上になるとほとんどの人に認められるとされ、進行すると日常生活や運転に支障が生じることがある。


治療の基本は手術で、水晶体を取り除き人工の眼内レンズを挿入する「超音波乳化吸引術」が一般的だ。小さな切開から超音波で濁りを砕き吸引し、レンズを挿入する方法で、
所要時間は15~30分。麻酔により痛みはほとんどなく、日帰りでの実施も可能。ただし、高齢者や合併症のある場合は短期入院となることもある。

 

眼内レンズの種類は?

眼内レンズは、水晶体のように自動でピント調節できない。そのため、患者は自分の生活スタイルに合ったレンズの種類や度数を手術前に決めておく必要がある。レンズには「単焦点」と「多焦点」の2種類があり、それぞれ特徴が異なる。単焦点レンズは、遠くか近くのどちらか一つにピントを合わせるタイプ。見え方は鮮明だが、ピントが合わない距離では眼鏡が必要になる。一方、多焦点レンズは複数の距離にピントを合わせられるのが特徴だ。そのため眼鏡の使用頻度を減らすことができる。ただし、夜間の光のにじみ(ハロー・グレア)や、コントラストの低下を感じることがあり、目の病気がある場合は使用できないこともある。

手術の費用は?

単焦点レンズの場合、保険適用となるため片眼約6万円程度(3割負担/日帰り)。高額療養費制度の利用によりさらに負担が軽減されることがある。多焦点レンズは「選定療養」となるため、保険診療分に加えてレンズ代などが追加負担となる。取り扱うレンズの種類にもよるが大体30万円以上が目安だ。レンズの選択にあたっては、職業、趣味、夜間運転の有無などをふまえ、担当医とよく相談することが重要だ。白内障による見えにくさは、転倒リスクや仕事の効率低下など生活の質に大きく影響する。早めに手術することで趣味や外出の機会が増え、活動的な生活を取り戻すことにもつながる。視力低下などを感じたら早めに眼科受診をしてほしい。

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