公開日: 2025年9月1日

<ご近所さんの生活 第43話 武井 怜>エッセイ漫画 【毎週更新】

baychibainfo
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市川市で暮らす、パパ(父)と、おっか(母)と、ごはちゃん(猫)と、私(武井怜)の日常の、漫画と文章です。
ちょっと気になる「ご近所さんの生活」を、我が家のでよかったら、見てもらえたら嬉しいなと思います。

 

【第43話】
『家にある食材で、夕ご飯を作る話』

私は、インターネット上に、レシピを載せてくれている方々のおかげで、夕ご飯を作るときに、そのとき、家にあるものだけを組み合わせて、作らせてもらえています。私は、料理が苦手です。得意料理は、ひとつもありません。なんでも、レシピを見ないと作れません。カレーも失敗します。揚げものは焦がします。そうめんの怪物みたいな夕飯ができてしまったこともあります。それなら、家にある食材だけで夕ご飯を作るよりも、自分の作れそうな料理のレシピを調べて、その材料を買ってきて、夕ご飯を作るほうが、いいのかもしれません。だけど、どうして私が、そのとき、家にある食材だけで、夕ご飯を作りたいのかというと、その理由は、いくつかあるなと思います。ひとつは、私がケチで、自分のお金で、食材を買いたくないな、と思ってしまうからです。もうひとつは、夕ご飯を作る前に、いつも、家にある食材をメモして、その食材で、どんな夕ご飯を作れるのか考えることが、楽しいからです。もうひとつは、これは、最近そう思ったのですが、家にある食材だけで、夕ご飯を作ってきた記録を、終わらせたくないからです。

この前、夕ご飯を何にしようかなと考えながら、水道の下の棚の戸を開けたら、かに玉の素みたいな袋をみつけました。かに玉の素の袋には、卵が3つ必要、と書いてありました。だけど、そのとき、家には、卵が2つしかありませんでした。そのとき、他に、おかずのメインにできそうなものもなくて、というのは嘘で、本当は、冷凍のアジフライとか、エビフライとかは、あったと思うのですが、揚げものは、私の中で、めんどくさくて、私は、卵さえ買ってくれば、いい感じの夕ご飯が作れるな、と思いました。だから私は、かに玉の袋を片手に持ちながら、「卵、買ってくるかあ…」と、ひとりごとを言いました。だけど、今まで、家にある食材だけで、夕ご飯を作ってきたのに、今日は、買ってしまうのか?と思いました。家にある食材だけで、夕ご飯を作ってきた記録を終わらせてしまうことが、悔しいような気持ちになりました。だから、その日は、かに玉を作るのをやめました。そして、買いものをしないで、家にある食材だけで、夕ご飯を作りました。私は、その日、かに玉を作るのをやめて、何を作ったのか、忘れました。私は、夕ご飯を作ることに、情熱みたいなものを、全然もっていないのに、「家にある食材だけで作る」という意地はあるんだな、と思いました。

 

<ご近所さんの生活>エッセイ漫画
前のお話はこちら

 

武井 怜

1988年生まれ。現在、両親と猫と千葉県市川市在住。動物、お笑い、海外のコメディ、甘いもの、お相撲などが好き。コミックエッセイ『気にしすぎガール~この世のあらゆる物事に気を遣いすぎる女の日常~』(KADOKAWA)発売中。

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