TMOフェロー
宮川 はるみさん(本北方在住)
素晴らしいものでなくてもいい
宮川さんはTMO講座の3期生。当時はパート勤務をする主婦で、TMOは「回遊展in八幡」のボランティア仲間からすすめられた。さぞかし地域活動への関心が高かったのだろうと思いきや、「行政や大学の先生のお話を聞いて見識を広められたらいいな、くらいの気持ち。修了発表をすることさえ知らずに受講しました」と笑う。
周りは長年働いてリタイアした人や、地域活動に熱心な人がほとんど。講座の内容は初めて知ることばかりで、ただ静かに聞くだけだった。しかし、発表は必須。テーマをどうするか、悩みに悩んだ宮川さんは、TMOを担当する市川市の職員に相談した。
「素晴らしいものでなくてもいい、自分にできることを考えてみたらとアドバイスしてくれました」
手作り品の発表の場がないなら作ろう
その頃、宮川さんが興味を持っていたことは2つ。友だちと無農薬野菜を作るようになってから関心を持った、環境。そして、フラワーアレンジメントなどの手作り。さて、どちらにするか。
「当時は今ほどマルシェなどイベントがなく、手作り品を発表・販売する場がありませんでした。じゃあ、作ろうと考えました」
TMO講座修了後、同期のメンバーともっとやりたいことをブラッシュアップしたいと、アドバンス講座0期を受講。2011年には「いちかわ手づくり市実行委員会」を立ち上げた。
手作り仲間や、発表を聞いたさまざまなジャンルの仲間の力を借り、同年中に2つのマルシェを実施。参加した作家たち、買い物に来た多くの人たち、どちらにも笑顔があふれるイベントになり、以後、市内各地で開催されるようになっていった。
「作家とお客さまだけでなく、作家と作家の交流も広がっています。マルシェをきっかけに東京に進出したり、本を出したり、やりたいことを広げている作家も。参加者すべてに喜んでもらうことを大切にしています」
他のイベントにスカウトされたり、しばらく不参加だった作家が再び顔を出したり。そんな自由な雰囲気も同委員会の魅力であり、自慢だ。
好きなことを続けるには
現在は同委員会の役職を後輩に委ね、イベントの際、受付や駐輪場設営など後方支援を行う。もちろん、課題があれば相談にのって一緒に解決していく、頼もしき存在に変わりはない。
そんな宮川さんは今、シニア世代の作家について考えている。
「作品を作っても、体力的な面でイベントから遠ざかっている人もいます。イベントで人と出会ってやりとりすることは、シニアにとって生きがいにもつながるはず。誰でも好きなことで目標を持って楽しめる場づくりを、模索したい」
宮川さんがこれから見出すであろう場は、きっと若い世代の未来にとっても有意義なものになるだろう。