いま見直そう、歯と口の健康
6月4日の虫歯予防デーを含む、6月4日~10日は「歯と口の健康週間」として、全国の学校や歯科医院、保健所などで、歯や口内健康に関するさまざまな啓発活動が行われている。
「歯と口の健康は、単に『食べるため』『見た目のため』だけに大事なのではない」と話す市川市歯科医師会広報担当理事の澤野宗如歯科医師に詳しく聞いた。
気付かぬうちに進行する、虫歯と歯周病
近年では、虫歯や歯周病などの口腔トラブルが、糖尿病や心疾患、誤嚥性肺炎などの全身疾患とも深く関係していることが明らかになっており、「口は健康の入り口」として注目されてきています。
虫歯は、口の中にいる細菌が糖分を分解して酸を作り出し、その酸が歯を溶かすことで発生。初期段階では痛みがないため気付きにくく、知らないうちに進行してしまうことも多々あります。いったん進行すると治療には時間も費用もかかります。
子どもの虫歯は減少傾向にあるものの、歯磨き習慣が不十分だったり、間食の回数が多かったりすると、リスクは依然として高いです。
大人になると、虫歯に加えて歯周病の問題も出てきます。歯周病も自覚症状が少なく、気付かぬうちに歯肉が炎症を起こして、最悪の場合は歯を失うことも。さらに、歯周病菌が血流に入り込み、動脈硬化や心臓病の一因となることも報告されています。
そして、高齢者では、口腔内の清潔が保たれないと誤嚥性肺炎のリスクが高まり、命に関わることもあります。
どの場合も、「予防」が何よりも重要です。
日常的な口腔ケアと定期的な歯科受診
ではどうやって予防すればいいのか…。虫歯や歯周病を防ぐには、まず「毎日の歯磨き」が基本です。
食後はなるべく早めに歯を磨きましょう。歯ブラシだけでなくデンタルフロスや歯間ブラシも使って、歯と歯の間の汚れをしっかり取り除くことが望ましいです。特に就寝前のケアは重要で、口の中が乾きやすい夜間は細菌が増えやすいため、ていねいな磨きが必要です。
また、食生活の見直しも効果的。甘いお菓子やジュースを頻繁にとると、口の中が常に酸性になり、虫歯が進行しやすくなります。間食の回数を減らし、栄養バランスのとれた食事を心がけることが大切です。
自分でのケアに加えて、歯科医院での定期的なチェックも受けましょう。たとえ自覚症状がなくても、3カ月から半年に1度、検診を受けることで、虫歯等の早期発見・早期治療が可能になります。最近では予防を重視した「かかりつけ歯科医」を持つ人も増えており、生涯にわたる口の健康維持が期待されています。
◇ ◇
歯と口の健康は、人生の質(QOL)に大きな影響を与えます。しっかり食べて、話し、笑い合うことができるのは、健康な歯があってこそ。6月4日の虫歯予防デー、「歯と口の健康週間」をきっかけに、家族みんなでお口のケアを見直し、毎日の生活の中に「予防」の意識を取り入れてみてください。