歯周病の恐ろしさと予防のための栄養と献立
市川市歯科医師会(𠮷田英介会長)主催の令和7年度市民公開講座が11月16日(日)、市川グランドホテルで開催され、「歯周病が全身に及ぼす影響と治癒に必要な栄養の話」をテーマに講演が行われた。
講師は、日本歯周病学会元理事長で日本大学名誉教授の伊藤公一氏と、管理栄養士の関口絢子氏。市民約200人が参加した。
■歯周病とは?歯科医によるケアが大切
伊藤氏は、歯周病と全身の健康の関連を取り上げた。
歯周病は、口の中の細菌の集合体である歯垢(プラーク)が原因となり、歯ぐきや歯を支える骨が炎症を起こす病気で、歯が抜けることにつながる。
問題は歯だけではない。歯周病原菌は、唾液や血液を介して体内に取り込まれ、動脈硬化や認知症、誤嚥性肺炎、関節炎、糖尿病など全身の疾患に影響を及ぼす。
伊藤氏は、「歯周病は歯磨きで大部分は予防できるはずだが、磨き方や口内環境は個人差があり、歯科医によるケアは欠かせない」と訴えた。
■歯周病対策としての栄養と献立
関口氏は、栄養学の立場から、歯周病を防ぐ食事を提案した。
歯周病原菌が繁殖しやすいと考えられるのは、糖質の高い食べ物や刺激の強い食べ物。反対に、炎症と免疫をコントロールする栄養素は、ビタミンD、オメガ3脂肪酸、ビタミンE、食物繊維などがある。
これらを踏まえ、モデル献立を3つ紹介した。1つ目は、肉豆腐(豚肉、焼き豆腐、長ネギ、エノキ、小松菜、卵)、サトイモとキュウリのおかか和え、ご飯と汁物。2つ目は、タラと豆腐のキムチ鍋(タラ、豆腐、青ネギ、キムチ、豆乳、ゴマ)、リンゴとサツマイモのレンチン蒸し、うどん。3つ目は、焼きサバのネギポン添え、ヒジキ煮物(ヒジキ、ニンジン、油揚げ、ゴボウ、ゴマ油)、ご飯と汁物。
「あくまで例ではあるが、献立を考えるときに歯周病対策も意識してみては」と関口氏は呼び掛けた。
終了後、参加者に感想を聞くと、「歯周病という言葉だけは知っていたが、講演を聞いてよくわかった」(60代男性)、「モデル献立が興味深かった」(50代女性)などの声が聞かれた。
