公開日: 2025年9月9日 - 最終更新日: 2025年9月11日

【医療特集】医療の専門職から聞いた「もしもの時のそなえ」

浦安新聞
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「もしもの時に慌てない!医療と介護のそなえ講座(主催/浦安市高齢者包括支援課)」と題した市民講座が、8月29日(金)、浦安市文化会館で開催された。講師として、山田智子氏(浦安市医師会副会長、ひまわりクリニック)、大輪美保氏(浦安市ケアマネジャー連絡会、みずたま介護ステーション浦安)、村瀬恵子氏(タムス浦安病院地域連携室)の3人が登壇。参加した市民に向け、「リアルな現場の声」を伝えた。

約250人が聴講し、市民の関心の高さが伺えたこの講座。今号の浦安新聞では、医療特集に合わせ、この講座の内容から「医療の備え」について焦点を当て、改めて紹介する。

 

人生会議(ACP)で自分の思いを知り・話し・残す

誰でも「もしも」の場面に向き合うときがある。病気で体調が急変することもあれば、老衰で数年をかけて心身が衰えていくこともある。若い世代でも、不慮の事故で突然命を落とすかもしれない。困るのは残された家族だ。延命治療の選択など、家族の間で意見が分かれて迷うケースは多い。だからこそ、年齢を問わず自分の意思を残しておくことが必要だ。あらかじめ本人の思いを家族が知っているだけで判断がぐっとしやすくなる。

その備えとして大切なのが「人生会議(ACP:Advance Care Planningアドバンス・ケア・ プランニング)」だ。これは、家族と共に、「人生をどのように生きたいか」「最期のときはどのような医療や介護を受けたいか」などを話し合うもの。

進め方は【①考える】自分の価値観や希望を整理する、【②話す】信頼できる家族や友人、かかりつけ医と語り合う、【③記録する】エンディングノートやメモに残す、【④見直す】状況が変わるものはそのたびにアップデートしていく、の4つである。大切なのは、お互いの意見を否定せずに耳を傾けること。そして「その時の答え」が変わってもよいと考えること。最近はカードゲーム形式の「もしバナゲーム」で楽しく話し合う方法も広がっている。

 

今できる備えとして、かかりつけ医は心強い存在

普段から自分の体調や生活を知っている「かかりつけ医」がいれば、病気の急変時も本人の希望に沿った判断をしやすい。診察を通じて価値観や人生会議の内容を伝えておけば、いざという時に「本人はこう望んでいた」と代弁してもらえる心強さがある。

まずは信頼して話せるかかりつけ医を見つけることが今できる備えの一つになるだろう。また、選択肢として訪問診療を知っておくのもよい。「もしも」の時の備えは、若い世代から高齢世代まで、すべての人に必要な課題であり、自分らしい人生を守るための責任でもある。

 

リアルな現場の声の事例

一人暮らしの70代男性。がん末期と診断され、退院後は外来通院を継続していた。次第に痛みが強くなり本人は入院を希望したが、身元を保証する人が遠方の兄弟しかおらず、担当医が入院の手続きをめぐって奔走した。最終的に兄弟に頼み込んで身元引受人になってもらい、ようやく入院が実現した。いざという時の連絡先や保険証や銀行口座関係の保管場所などを家族や信頼できる人に知らせておく備えが必要なのかもしれない。

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