公開日: 2025年7月31日

8月「いちかわ・行徳俳壇」結果発表!

明光企画スタッフ
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いちかわ・行徳俳壇

たくさんのご応募ありがとうございました。
ご応募いただいた中から見事選ばれた特選2句、佳作3句を発表いたします。

選者コメント

俳句は散文ではなく韻文詩です。一句を読み終わったとき、余韻が心に残ることが大切です。一句を読んで、「はい、分かりました」という結果や結論で終わってしまっては、感動が残りません。意識的に「結果」や「答え」を避けることが余韻を生み出す効果ではないでしょうか。また、散文ではないのですから、状況を丁寧に説明する必要はありません。あまりにも状況を説明しすぎると、余韻を生み出す隙が無くなってしまいます。説明をなるべく少なくするためには、動詞を少なく、できれば一つぐらいにすることが肝要です。

「天辺に天辺生まる雲の峰」成規(句集『銀河の一滴』より)

 

いちかわ俳壇


 特選

  • 船小屋の梁に寺子屋燕の子
    (練馬区/桜石)

    【評】冬季に海の荒れる日が多い日本海沿岸には、船を納めておく船小屋が各地で建てられています。その小屋の梁に燕が巣を作り、その巣にはたくさんの子燕が生まれ、親鳥の運ぶ餌を待ちわびて騒いでいます。それは、まるで寺子屋に通って来る腕白坊主たちの騒ぎのようです。「船小屋」「寺子屋」のリフレインも心地よいです。
  • 数式と恋を覚へて夏期講座
    (船橋市/よこさん) 

    【評】高校あるいは大学受験期の一コマなのでしょう。しっかり勉強するはずの夏期講座では数学の数式を覚えましたが、それにプラスして素敵な恋にも巡り合ったのでしょう。一挙両得をした忘れられない夏期講座だったに違いありません。受験の成果は? 恋の行方は? 読み手はその後が気になりますね。

佳作

  • 菩提樹の花芳しく母となる
    (杉並区/すみこ)
  • 紫陽花の葉裏の流れ年半ば
    (市川/山秀)
  • 梅雨空に我が水鳥記冷酒干す
    (国分/幸酔)

 

行徳俳壇


 特選

  • 枕辺に探す眼鏡や明易し
    (富浜/小川はる乃)

    【評】「明易し」の季語は、夏至を中心に夜が短い季節のことを言います。朝四時にはすでに空が明るくなっていて、起きるにはまだ早いので、眠る前に読みかけた本を再び読んでみようと思ったのでしょうか。そのような「明易し」の時間を、「探す眼鏡」という措辞を導入して、読み手にその状況を想像させています。
  • 心弾む本屋の匂ひ七月来
    (行徳駅前/人魚姫)

    【評】 「七月来」という季語を使っていますが、上五で「心弾む」と言っていますので、きっと「梅雨明」や「夏休み開始」のことが作者の心に溢れているのでしょう。本屋には、夏休みに読んでみたい新刊書や行ってみたい「旅の本」が並べられています。実際の本の匂いというより、それらの本から楽しさが匂ってくるということでしょう。

佳作

  • 夜濯を干す潮騒のベランダに
    (幸/汐風爽)
  • 言葉なく足早めたり若葉風
    (浦安市/満穂)
  • 骨董の火鉢の水槽黄スイレン
    (下新宿/T子)

 

選者略歴

峰崎成規。昭和23年生まれ。
俳人協会会員。結社「沖」同人。平成25年第27回千葉県俳句作家協会新人賞受賞。
平成26年「沖」同人、沖新人奨励賞受賞。平成28年第十六回手児奈文学賞受賞。

 

読者投稿フォームにて
「いちかわ・行徳俳壇」募集中
【8/1~8/22募集分】

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