公開日: 2025年7月18日

【健康の話】注目される「硝子体注射」【眼科】

浦安新聞
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ゆがんで見えていませんか?

目の奥にある網膜の病気の治療法として今注目されているのが「硝子体(しょうしたい)注射」だ。視界の中心がゆがむ、ぼやけるなどの症状に対して行う治療で、早期に実施すれば視力の維持や改善が期待できるという。数多くの硝子体注射を手がけている「葛西駅前たなか眼科」院長・田中宏樹医師に話を聞いた。


葛西駅前たなか眼科 田中宏樹院長

目に入った光は、水晶体などで屈折し、網膜に達した後、脳で認識される。網膜の中心である黄斑に出血やむくみがたまると、視界の中心がゆがむ、ぼやけるなどの症状がでる。
硝子体注射とは、眼球内の「硝子体」というゼリー状の空間に、専用の薬剤を注入する治療法である。網膜の異常に関係する物質の働きを抑え、出血やむくみを改善して視力の低下やゆがみを防ぐために行う。
点眼麻酔を受けた後、白目の部分から極細の針で薬を注射する。針は非常に細く、処置自体も数秒で終わるため痛みの心配は少ない。

加齢黄斑変性・網膜静脈閉塞症に効果

硝子体注射が特に有効とされる代表的な疾患は、「加齢黄斑変性」と「網膜静脈閉塞症」。いずれも保険適用である。治療しなければ進行する病気で、高血圧、高脂血症、喫煙などが主な原因と言われている。加齢に加えて生活習慣病との関連も深い。
「加齢黄斑変性」は、網膜の中心にある黄斑に異常な新生血管ができることで起こる病気だ。新生血管から血液や水分が漏れ出し、視細胞が損傷する。一度発症すると視力を完全に取り戻すことは難しいとされているが、その進行を抑制するために硝子体注射が有効だ。
「網膜静脈閉塞症」は、網膜の血管が詰まり出血やむくみが生じる。年齢層や症状の程度によって経過が大きく異なる。
いずれの場合も、早期の診断と適切な対応が視機能の維持に直結する。

「アムスラーチャート」で早期発見を

これらの病気の初期症状は非常に気づきにくく、「なんとなく見えにくい」「片方の目だけおかしい」と感じてもつい放置してしまいがち。「年のせい」と受診しないケースは多く、重症化してしまうことも。
異常に早く気づくためには、右の「アムスラーチャート」を活用し、ゆがみがないか、見えないところはないかのセルフチェックが有効だ。少しでも異変があれば迷わず眼科を受診してほしい。将来の「見える」を守るために早期発見・早期治療が何より重要だ。

【自己チェック】
①チャートを目から30cmはなす
②メガネ・コンタクトをしたまま片目ずつ、表中央の黒い点を見る
③ゆがみや見えないところがないか調べる

 

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